こんな感じで1ヶ月間延々配線を作っていました。
何らかの目的のために配線を作ったというよりは「はんだ付けから端子圧着を経て配線完了までの工程の一通りを練習したかった」という動機のほうが強い。
作った配線は以下の2つ。
- MVSステレオ化配線
私の使っているMVSマザーは初期のでっかいやつMV-1で、これがカートリッジ1枚しか刺さらないのに本当にでかくてしんどいのだけれど悪いことばかりではなく、最初からステレオ端子とヘッドホン端子のポストがそれぞれ用意されている。
ブラストシティはもとからステレオ配線に対応しているので、MV-1の端子に適合するコネクタとRCA端子をこさえてしまえば簡単にステレオ化できるというわけだ。
アーケードハーネス配線データベース: 各社ステレオピン配列を参考にしつつ一応完成。白のRCAメス端子がどこにも売っておらず黒で妥協。RightがRedという前提さえ抑えておけば問題なかろう。
使ってみた感想だが……思ったより微妙だな!
アーケードにおいてはまだまだモノラル前提のゲームが多い時代*1に、さらに後期型のマザーボードからはオミットされた機能というだけあって、基本的にどのタイトルもおまけ程度のステレオ対応しかしていない。概ね「BGMだけステレオで他の音声はモノラル」という作りがスタンダードになっている。
サムスピのように「BGMの他に着地・ダウン音までステレオ、それ以外はモノラル」というゲームもあったり、そもそもステレオに対応していなかったりと対応具合までまちまちである。
それでも戦国伝承1のように全音がわざとらしいステレオに対応していたり、斬紅郎無双剣OPみたいにBGMの音色の広がりがぐっと深くなるタイトルもあったりで侮れないところはある。
まあ、作ったモノがちゃんと使えたのでヨシ! マザーボードのほうの調子が良くなくてステレオへの切り替えスイッチを1回ドツかないとちゃんと音が出なかったりするけど。
- JVS6ボタン化配線
ここで言うJVSとはいわゆる新JAMMA規格というやつで、セガのNaomiをはじめ近年のPC型汎用アーケードシステムには概ね採用されている入力系の規格のことだ。端子に旧JAMMAの56ピンコネクタではなくUSB互換*2の端子を使っているという違いがある。私のブラストシティは入力系は旧JAMMAにしか対応していない*3ので、どうにかしてJVSから旧JAMMAに変換する必要がある。そこでこちらの同人変換基板だ。
私の環境ではこれを使用してJVS→旧JAMMAに変換してブラストシティに接続している。セガやカプコンが当時出していた純正コンバータも存在するのだが、今となってはそちらはかなりお値が張るので、安価で手に入るこちらは本当に便利でありがたい存在である。
さてこの基板、ボタンについては5ボタンまでしか対応していない。これは旧JAMMAの56ピンコネクタに変換する関係上、そちらで想定されているボタン数までしか対応できないからだ。純正コンバータも同様の仕様であったと聞く。
私の持っているJVS採用基板といえばもっぱらNaomiなのだが、Naomiには主にカプコンのせいで5ボタンでは足りないゲームが僅かだが存在する。『カプエス2』とか『マブカプ2』とかがそうですね。
『カプエス2』ができないのはつまらんなあ……と思ってなんとかしてみようと思った次第。
さて先の変換基板であるが、基板側のほうで最初から6ボタン化するための道筋をいくつか用意してくれている。
一つはカプコンのキックハーネスにあたる1P側の4~6ボタンと2P側の4~6ボタン、それにGNDの7つがまとまった7穴のスルーホール。もうひとつは1Pと2Pの6ボタン目だけGNDと一緒に切り出された2穴x2穴のスルーホール。このどちらかに適当なピンヘッダやポストをくっつけて配線してやれば6ボタン目が使用可能になるというわけだ。
今回はどうせなら手のかかる方を練習に使おうということで、キックハーネス型のスルーホールに7ピンのポストをくっつけることにした。
ただ、そこから一気にコンパネまで線を伸ばすのはさすがに冗長になりすぎるので、足元からコンパネまでの半分程度の距離で切って中継コネクタに接続。コンパネ側から別途そこまでの長さの配線を用意することにした。こうすることで撤収の際にはボタン側の端子ではなく中継コネクタから線を外せば良いことになり、ちょっと取り回しが楽になる。
千石で7ピンのXHコネクタを買ってきて、まずはポストをはんだ付け。なんでXHコネクタかというと7ピンの店頭在庫がこれくらいしかなかったからです。今にして思えば手元にあるピンヘッダとQIコネクタを適当にぶった切って使ってもよかったかもしれない。
今回いちばん困ったのがファストン端子の圧着。手持ちのPA-09では工具に対して端子が大きく、端子が割れてしまって圧着がうまくいかないことが多々あった。ひとつ上のサイズであるPA-20なら問題ないのだと思うが、ファストン端子を圧着する機会はそんなにないと思うので購入を躊躇しているのが正直なところ。
途中何度か部材の発注をミスったり他にもいろいろあって、手を付けてから2つの配線を作り終えるまでだいたい1ヶ月位かかってしまった。みんなも中継コネクタのオスメスは買う前に指差し確認しような。
配線の作成中に部材の買い間違いに気付いて思わず天を仰いだ お分かりいただけるだろうか…… pic.twitter.com/wcBXNPEnx2
— 不自由人/エヤマ (@UnFreeMan_) 2022年11月26日
これである程度自分で何とかする練習はできたと思うので、次はコンパネ内の配線を全部新品に替えることを目標としたい。今の時点でもだいぶヤニ臭いので……