本格的にゲーム筐体導入を決めてからウンヶ月。
ヤフオクを覗きつつ何箇所かアーケードゲーム筐体の販売会社をロックオンし、在庫情報を日々リロードする日を送っていたところ、セブンズさんにブラストの入荷情報が。
一瞬迷いつつも気がついたらメールを送っており、それから何度かメールのやりとりと代金の支払いを挟んで最初の連絡からだいたい4週間。
めでたくこういうことになったのでぐだぐだと書いておきたい。
5月中旬・某日。
搬入の予定を早めたため当初頼もうとしていた助っ人を呼ぶに呼べず、代わりの人材は当日ブッチするという波乱に見舞われたものの、配送担当の方がご厚意で部屋の中までの搬入を手伝ってくださり本当に助かった。
さておきついにブラストシティが我が家に。圧倒的威圧感! そして満足感!
運搬を手伝ってもらってしまった業者さんにお礼を言って帰っていただき、梱包を外してカギを確認。お前がこれまでどこのロケで動いていたのかは知らないが、ここがお前の墓場となるのだ。
JAMMAハーネスの表裏を10分くらいかけて確認して速攻Gピンを装着。基板をつなげていざ起動!!
おお、見よ! お腹に響く電源の起動音! 光り輝く上部ネオン!! そしてモニターにゲーム画面が―――
は、ハーネスの差し方が甘かったかな?
さあ来い再起動!!
青ざめる私。まさかあれほど確認したのにハーネス逆差しやっちまったのか?
この時点で手がブルブル震え、背中には嫌な汗をびっしょりかいている。
深呼吸して状況確認を試みる。
上部ネオンはついているので筐体に最低限の通電はしている。
基板のほうはどうかというと、ファンがきちんと回っている。ハーネスから電気が正常に行っているということであり、ということは表裏を間違えているというわけではない。
ならば音はどうか? そう思って基板をガレッガに変更する。アトラクトサウンドが出るDIP設定にして電源ON。ROMチェックをしているであろう時間が過ぎた後……
"ラァイジィン!"
鳴った!
調子に乗ってさらにサービススイッチでクレジットを入れ、スタートボタンを押してみる。ちゃんと反応して機体選択画面のBGMが流れ始めた。音を聞く限りレバーとボタンもきちんと反応しているようだ。
こうなると悪いのはモニタだけということになる。そこでまずはモニタの型番を確認。ブラスト背面のネジを外して開けるとモニタの背面なので、上を覗き込んでステッカーの型番を確認。
NANAO MS-2930S。うおおあんまり知らん型番を引いてしまった。
モニタ基板にもコンパネ側にもそれらしきDIPは見当たらないので、これは周波数オートスキャンのモニタであるはず。であれば例えば周波数変更操作の漏れで画面が映らない……というような事象でないことはわかる。
そもそも周波数ミスの場合は画面に何か出ては来るはずなので、そういう面でも周波数がどうこうという問題ではおそらくないだろう。
続いてモニタ基板の接続部位を確認。電源やJAMMAの映像信号を持ってくる12ピンのコネクタはきちんと繋がっているように見える。
その手前にD-Sub15ピンの端子。これは未接続。ふむ。
問題の切り分けのためにJAMMA基板ではなくNaomiを接続してみる。電源オンしてしばらく待つとNaomiの起動音が聞こえるものの、やはり画面には変化なし。
このD-Sub15ピンケーブルは直前までNaomiとMDT-242を繋ぐために使用していたので不良品ということはあり得ない。
JAMMAの映像信号線がメゲているという可能性は否定できないが、D-Subからの映像も表示できていないということが分かった。
これで「画面に縦や横の線が一本だけ出る」というような事象でも起きててくれればそれはブラウン管あるあるのモニタ基板故障なのだが、何も出ないのではこちらもこれ以上手が出せない。
ここで一旦ギブることにして配送してくれたドライバーさんに連絡。基板を繋いで音は出たものの画面が全く出ないこと、基板はJAMMA接続とD-Sub接続の両方を試したことを伝える。
こちらからも出荷前に事故防止等でモニター側のケーブルの配線を外すようなことをしたかどうか聞いてみるが、おそらくそんなことはしていないだろうとのこと。
こちらからの申告内容から輸送中にモニタ基板がやられてしまったものと判断し、モニタ基板の代替品が見つかり次第持ってきてくれる運びとなってその日は終わった。
さて翌日。
「そもそもモニタにきちんと通電できていないのでは?」という仮説を立てた私は、せめてもの抵抗としてヒューズ交換を試みるべくモニタ基板の情報収集を開始した。
MS-2930Sというモニタの情報は少ないが、幸いにもモニタ基板についてはArcadeOtakuに画像が存在したので参考にする。
画像を頼りにモニタ基板を検分し……あれ、基板の形状違う?
画像の位置にヒューズがないばかりか1つだったはずのヒューズが2つついている。こっちの見た目をもとに改めて調べてみると、どうも実際に接続されているのはMS-2931のモニタ基板であるようだ。よくわからんがこっちのほうが資料は多いのでありがたい。
MS-293X系のモニタは知ってる限りだと2930、2931、2934は相互に基板を使いまわせるのだが、我が家に来る前はこれでどこかのロケで動いていたということは2930Sも同じく使い回せたのだろう。
それかMS-2930Sという型番自体が2930のブラウン管+2931の基板という構成の商品だったのかもしれない。
ともあれ基板とパーツリストは判明したので、同じ電流電圧のヒューズを発注……したつもりが片方間違えてて250Vのところを125Vで買ってしまった。慣れないことをするもんじゃありませんね! 結局ヒューズがそろうのは週が明けてからになった。
ではヒューズを交換して画面が映ったのかというと、まあ映らない。正直私もあまり期待はしていなかった。交換したヒューズは戻しておく。
手持ちの装備ではこれ以上の検証が不可能であり、この時点で搬入からまるっと一週間が経過していて焦燥感もピークに達してしまっていたので「モニタ基板手配時期の目処が立っていれば教えて欲しい」と連絡。折り返しの連絡で翌日代替品を取り付けてもらえることになった。
どう見ても催促してしまった形になり心苦しかったが、正直なところこちらの精神状態も結構危なかったので申し訳ないがこらえてほしい。次回からは自分で何とかするので……
本来ならこういうトラブル発生まで含めてAYOR(At Your Own Risk)精神で行くべきというのは理解しているし、私もこれがヤフオクで落とした個体とかだったらそうしたと思うが、今回は動作品を業者さんから購入したという形を取っていることもあり、最初にきちんと動くものになるまでは付き合っていただくと線引している。これでモニタさえなんとかなればその時点でこの話は完了である。
成仏ゲージが充填される音がします pic.twitter.com/EwhZi7Nxgc
— 不自由人/エヤマ (@UnFreeMan_) 2022年5月27日
モニタの方は上記の通り、モニタ基板の交換であっさり復活。通電していない状態だったので輸送時か初回起動のタイミングで電源系の回路が飛んでしまったのだろうとのこと。数分立ち上げても正常に動いているので問題は解消されたと判断。今度こそブラストシティが我が家に来たというわけだ。
この後いきなりフォーカスが全ボケになるなどのトラブルが有りつつも週末ずっと触って遊んでいた。まあ一言で言って最高だが、一方で現行ゲーム機への移植品にも十分すぎるほどのメリットがあるとも感じる。まず実機では中断ができないしな。今後も元の基板と移植版とで両方とも愛でていくことだろう。
最後に、今回購入相談の連絡をしてからこうしたトラブルへの対応まで付き合ってくださったセブンズさんには厚くお礼申し上げたい。本当にお世話になりました。もしまた機会があればぜひとも利用させていただきたい次第。
とはいえそうそう次の機会があるとは……えっ縦画面? いやそんな……