ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

ジョーカー観た

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一本の映画としての満足感は凄くて、今年観た映画の中では現状ダントツのナンバーワン。ホアキンフェニックスの超演技、研ぎ澄まされたカット、練られた劇伴でアーサーという小市民がいかに心からの笑いを獲得したかという経緯が悪意たっぷりに描かれる。
それでいてこの映画はかなり客のほうが観たいように観られるように作ってあるので、私はこの映画をエンターテイメントとして観たけど、社会派映画とみなして誰かを殴る棒にしても良し、プロパガンダ映画とみなして噴き上がるも良しでみんなWin-Winだ。こっち来ないでと願うばかりだ。



ただ映画を観てからずっと「これジョーカー居る?」って思っちゃってるというのはある。着地点がジョーカーでなくとも成立する話だし。でもそれだと本当にただの社会派映画として観られちゃう可能性があるから、その側面から距離を置くためのアリバイ工作としてジョーカーというアイコンが使われてるみたいな……だから違和感というか嫌悪感は有る。
だからバットマン要素も一応入ってるけど、これはジョーカーを借りるための儀礼的なものにすぎない。多分あの世界では犯罪への復讐に燃える蝙蝠男は生まれないだろうし、数あるエルスワールドの一篇としてこの映画がある感じで。
なのでアメコミ映画というか、ジョーカーを描いた内容としては正直好きではない。これはヒース・レジャージャック・ニコルソンとつながらないからとかそういう話ではなく、ジョーカー観の違い。


ジョーカーのオリジンだとか誕生譚とかではなくて、アーサーという人物の流転を描いたエンターテイメントだと観る分には傑作。ラストの後ろめたい爽快感と美しい絵作りは本当に素晴らしい。
込められた悪意で人を打ちのめすパワーを持つ映画なので、興味があったらぜひとも映画館で観ましょう。この映画は「劇場で観る」という行為もまた重要なフレーバーになります。