ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』を観て、ベン・アフレックのバットマンに一縷の希望を見出したというお話

公開前週の『マン・オブ・スティール』TV放送をうっかり観てしまったため心を折られ、鑑賞を延び延びにしていた『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』をやっと観てきた。
出来だけ見ると『ダークナイト・ライジング』や『マン・オブ・スティール』の悪夢からようやく解き放たれそうな喜びを感じはしたのだが、それでも、それでもやはり言いたいことが……言わなければならないことが……





……いやあグダグダ脚本でしたね! 150分も時間とっておきながら、それでもなお情報を詰め込みすぎて崩壊寸前という危うさの極みのような映画。だいたいバリー・アレンをあんなふうにいきなり出されても、予備知識のない人は頭のなかにはてなマークが乱舞するだけだったんじゃないだろうか。私の前の席に座っているカップルはまさにそれだったぞ。
これは予備知識を仕入れてこなかった観客が悪い――ということでは勿論なく、結局のところこの映画がちょっとおかしいということにほかならない。だいたい『マン・オブ・スティール』でも出てこず『ジャスティスの誕生』でも作中でブルースと接点のないバリー・アレンが突如ひょっこり現れても、フラッシュに対して多少の予備知識のある私ですら困惑したわけで、映画シリーズだけ追う人にしてみれば「誰よこの人」となるしかなく、そうならないように伏線なりドラマなりを組み立てておくのが映画というものではないだろうか。
『ジャスティスの誕生』にはこういった脈絡のないシーンがとても多いのだが、とくにバリーのくだりはあまりにも唐突過ぎて「ああこれは後で作るJLA映画への伏線なんだな」という最低限の理解すら得られたかどうか怪しいくらいだ。「未来から来たバリー・アレンがJLAの遠因となる」というシチュエーション自体はDCユニヴァース的には非常に「正し」く、こういったところで原作読みの心をくすぐってくれるのは確かに嬉しいのだが、この映画にはそれ以前にすべきことが山積している……



しかしながらそんな多少(どころの話ではないが)のモヤモヤを忘れてしまうくらいベン・アフレックのブルースは良かったと思う。フランク・ミラーダークナイト・リターンズで描いたブルース、その全盛期の姿であると言われてもしっくり来るくらい再現度が高い。常に自分への、世間への苛立ちややり場のない怒りを目にたたえたDKR版バットマン、その若き日の姿とはこの映画でベン・アフレックが演じるような迷惑でエキセントリックな人物だったのではないだろうか? クリスチャン・ベールの法とヴィランと自身の掟との間で苦悩するバットマンではない新しい映画版バットマンの勇姿がこの映画にはあった。



だからこそ、ジェフ・ジョンズとベン・アフレックの組むバットマンの単独映画には無条件に期待したい……ジェフ・ジョンズが作ってもダメだったとなればむしろ逆にあきらめが付く。ノーランの『ダークナイト』唯一の良心がヒース・レジャー演じるジョーカーの熱演であったように、このとっちらかった『ジャスティスの誕生』という映画の中でひときわ輝いているのがベン・アフレックブルース・ウェインだ。もし次の単独映画が滑ったとしても、この二人が手がけて駄目ならもう駄目なんだとすべてを受け入れる覚悟ができた。



いやーそれでもね……映画冒頭で怪傑ゾロを観に行ったウェイン一家が襲撃されるシーン……飛び散る真珠のイメージ……あれを観たときの私のトキメキを返してほしくはある……それにやっぱりあのアメフトのシーンあれ絶対ブーs……ブツブツ……