ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

いろいろと考えさせられるFF15アンケート

FF15のことは嫌いではない。良い所よりも悪いところのほうが多く思いつくし、破綻寸前のストーリーに苛々させられたのも確かだが―――少なくともDLC配信前のトロフィーは全て集めた。
そんなFF15に1.04パッチが当たったので久々に起動してみたわけだが……



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このアンケートはあんまりじゃないですかと言わざるを得ない。何故プレイヤーである我々に訊くのか。そこは主体性を持つべきではないのか。「ここは不足していると思っています」というのを自白してしまってどうするというのだろうか。
あまりに悲しかったので開発側から提示された選択肢を一つ一つ検討していこうと思う。
あ、ネタバレに関しては特に考慮しませんので本編未プレイの方はご注意を。




  • 「アーデンの過去」に、何があったのかに関するストーリーの追加

本編で描けシリーズその1。アーデンの背景設定や正体については本編でもアルティマニアでもはっきりとは描かれず、特にラスボスとしての動機が断片というか一言二言程度しか語られないため「なんか知らんけど一方的に恨んでこっちを陥れてくるひろし」くらいにしか思えないのだ。それとは別に本編中の行動におかしな部分が非常に多く、いまさら過去設定のひとつやふたつ掘り下げられたところでどうにかなるとは思えないが、それでもラスボス感の欠如の緩和にはなるかもしれない。
余談だけどアーデンが正体を明かすときにイグニスが「まさか帝国の宰相?」と驚いていたけれど、べつに名前を偽ったわけでもないのに敵国の宰相の顔を誰一人把握していないという人物が王様の護衛やってて、しかもそれが全員であるということにおじさんは大いに驚いたよ。

  • 「ルナフレーナの行動」に、どのような意味があったのかに関するストーリーの追加

本編で描けシリーズその2。正直なところ選択肢の意味するところを測りかねているのだが、オルティシエで再会するまでルーナが何をしていたのかが具体的には描かれない点も踏まえての話なのだろうか。いずれにせよ最終的に「ノクトを真の王として目覚めさせる」という目的はあったわけだし。
……あ、リヴァイアサン相手に煽り合戦を展開した挙句敗北してオルティシエを水没させた意味? それは知りたい。あの場にノクティスが居合わせてなかったらどうするつもりだったんでしょうね。というかあんなにわちゃわちゃした事態にならなければドサクサでアーデンに殺されるような事にもならなかったんだよな。


上記2つの選択肢を見て特に強く思うのは、この2つはあえて伏せていたわけではなかったのだなということだ。言うまでもなくFF15の主人公はノクティスであり、彼の物語だ。ルシス王家の使命と本人には何ら関係のない過去の因縁に振り回され、否応なく「真の王」の椅子に座らされ、すべてを失い、そして死んでいくまでをノクティスの視点から描いた物語だ。だからノクティス本人が知り得ない事実は基本的に明かされないし語られない、そういう物語なのだと思っていた。そういう視点で見た場合、このゲームのストーリーにはそれなりに一貫性があったからだ。
ところがどうやら違うようで、そのことが私の失望を深くしている。描かなかったのではなく描けなかった、あるいは描いたつもりだったがプレイヤーに伝わっていなかったのだ。このアンケートは開発側のそういう見解を公にしてしまった。しかもその全てをカバーできるほどの追加コンテンツは作れないのでどれにするかはプレイヤーが決めてくれとアンケートで投げてしまっている。そこはもっと傲慢にと言うか、胸を張っていてほしかったのに。そういう意味ではレイブスの描写を追加する最近のアプデですら蛇足といえる。

  • 「コルがどのような行動」をとっていたのかに関するストーリーの追加

何故これが選択肢があるのかわからない。今更コルが何処で何をしていたかを掘り下げてもストーリーの解釈に何か影響を与えるとはとても思えない。コルの言動から本来存在するはずの14本目のファントムソードを探しに行ったとでも言うのだろうか?

  • 「ルシス王家」の歴史や、その特殊な能力に関するストーリーの追加

本編で描けシリーズその3。指しているところは「アーデンの追加ストーリー」とかぶっている部分が多いと思うのだが……アーデンとルシス王家の因縁は本編中でもっと深く掘り下げるべきだったとは思う。アルティマニアにしか載ってない情報が多すぎる。

  • 「イフリートの裏切り」など、六神に関するストーリーの追加

六神の関係性については既に作中で匂わされている程度の描写で十分だと思っているし、そもそも気まぐれで戦闘を終わらせに来てくれる便利屋さんという感じで割とどうでもいい。ただイフリートとアーデンがいつどうやって、どういう利害の一致で手を組んだのかは興味がありますね。

  • 「10年後の世界」がどうなっているのかについでのストーリーの追加

10年後の世界がどうなっているのか、というよりは10年後の世界を歩きまわらせろというのが本音だと思うの。そのうえで、追加されてもあんまり面白くなさそうだなあというのも本音だと思うの。

  • 「ノクティスがいない10年間」に、何が起きたかに関するストーリーの追加

まずお供が全員五体満足で健在で、プロンプトとシドニーの間にも進展が何もない(彼が恋慕しているのはノクティスなので当然とはいえ)という点から見て、何か大きな危機とか極限状況が発生したとはとても思えず、追加されるシナリオが面白くなるとはあまり思えない。ノクティスも最後のキャンプで「俺のいない間に何があったのか」とは聞かなかったんじゃないかな。「お前ら10年間何してたの?」とは聞いたと思うけど。色んな意味で。
やるならやるでアラネアがレスタルムの治安を確立するまでの話みたいな感じで、その後の本編に何ら影響を与えないキャラや場所を取り扱えば面白いものも出てくると思うが、これに票を入れる気にはなれない。如何せん「本編の合間に挟まる形のサイドストーリー」にはグラディオラスのDLCという失敗例がすでにある。私は既に知っていたのだ。王様をほっぽりだして修行の旅に出た挙句、雀の涙ほどの経験値しか持ち帰れなかった彼の姿を。

  • バトルで操作可能なキャラクターにする関連まとめて

今更床ペロ要員の一人や二人増えても……と思うかもしれないが、この項目に関してはそうではない。確かにこのゲームの仲間はウドの大木だが、それでも「操作キャラクターになる」というのは重要な意味を持つ。それはプロンプトの写真撮影の対象になるというのと同義だからだ。
プロンプトのオート写真撮影はFF15が誇るべき傑作システムだ。ただプレイしているだけでそれっぽいオモシロ写真がストックされていくというだけの機能がこんなに面白いとは思っていなかった。この機能のおかげでゲーム序盤の「チャラ男4人の卒業旅行」という空気感は抜群に描写できており、何故最後までこのほのぼの路線で行かなかったのかと悔やまれるほどだ。いや本当に、宿に泊まった時の写真整理イベントで「お前あのバトルの時こんなことしてたのかよ!」「こんな場面あったあった!」という気持ちになるというのはすごいことなんですよ。これに関しては今後も積極的にほめていきたいポイントなのでよろしくお願い致します。他社も全力でこの機能はパクって欲しい。
なので「あいつを操作してみたい」とかではなく「あいつをプロンプトに撮らせたい」という動機で票を投じる人はいると思います。ルナフレーナとかゲンティアナはシナリオ上バトルに参加できるタイミングが皆無なので実現可能性は低いと思うけど。

  • 難易度選択に「ハード」を追加する

これはいらないでしょう……難易度を上げてバトルが面白くなる要素が思いつかない。これ以上敵の火力や体力が底上げされてもなあ。シフトボタンを押しっぱなしにしてカウンター待ちする時間が伸びるだけだ。

  • 「ファントムソード」の性能を大幅アップさせる

これ自体は悪くない選択肢だとは思う。現状ファントムソードはHP減衰効果がきつすぎるのと、それに相反して性能がしょっぱいので、ステータスアップのために装備枠に入れることはあっても積極的に使用しているというプレイヤーは少ないだろう。凝ったモーション作ってあるのに勿体無い。問題はこのアプデを他と同列の選択肢にしていること。

  • キャラクターの状態を変化させる「新魔法」を追加する

あえてこの選択肢を選ぶプレイヤーはいるのだろうか。状態変化というのがどういうもので、それがバトルにどう寄与するのか教えてくれないことには検討対象にすら成り得ない。



以上、駆け足でそれぞれのアプデ候補に対して思うところを列挙してみた。そして私が何を選んだかだが……実はまだ選べずにいる。はたしてこのアンケートに答えてしまってよいのかと思っている。開発陣に「これが多かったんだからコレだけ実装して他は諦めてもらおう」という言い訳を与えて良いものかと、そう考えるとボタンを押す手が止まる。このまま回答することはないかもしれない。ゲームの向こう側にいる人間の仕打ちでここまで悲しい気持ちになったのは久しぶりだ。