ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

TVアニメ版ファントム全話見た

実家に帰った理由の一つが地元の友人に録画しといてもらったコレを見るためだったわけですが
あのラストの原作にないシーンはちょっとどういう意図で入れたのか全くわからない。
以下ネタバレ全開につき「続きを読む」で隠蔽。

最後まで概ね原作準拠でいってたので安心してたところへ唐突にアレで
「驚いたでしょwwwwwどんな気持ち? ねえ今どんな気持ち? うぇwwwwww」
という作り手の意図というか悪意がひしひしと感じられる最終回でございました。


いや「レオン」をやりたかったンじゃないかな〜というのはわかるんだけど
ここまでの殆どを原作版(ちなみにウチの言う原作とは全年齢のDVD-PG版のこと)の答え合わせみたいな作風でやってて
OVA版と違って原作経験者に優しいアニメだな〜と思ってたら最後にアレというのは何だ。
玲司「だけ」撃たれる理由もその後のエンディングの演出意図も全てが意味不明。
馬車から玲司が撃たれたのなら最後に映る薬莢が草の上に落ちているはずはないし
花びらの欠けた花から察するに結局二人とも死にましたというオチなのかしらね。
ただ欠けた花びらは1斤だけだったので直前のエレンのモノローグから察するに
「玲司という花びらが欠けても本体(インフェルノ)や他の花びら(エレン)には影響ない」
という意図だったのかも知れん。


デッドエンドに行くのは構わんのだがだったらちゃんと伏線を張って欲しかった。
こういう殺し屋ドラマやフィルム・ノワールではデッドエンドというのは珍しくないんだけど
見せ場の中で格好良く死ぬにしてもラストであっさり殺されるにしても
劇中に必ず仕込みや伏線が配されているものなのだがそれすらなくいきなり謎の殺し屋に撃たれて終わりというのは
あまりにも納得感が薄い。物語上どころか構成上唐突に差し込んでいる。
まして原作のエレンエンドをなぞった展開なのに最後の最後で原作にはない方向へのどんでん返し。
脚本書いた奴は「意外な展開」という言葉を勘違いしとりゃせんか?


もし25話から大幅な改編があって「俺たちに明日はない」的なエンディングとか
原作における単身インフェルノ殲滅エンディングに流れるならそれはそれで良かった。過程がキッチリ描かれるならばと言う条件付きだが。
少なくともこういう「カタルシスも納得感もなくただモヤモヤするだけ」という中途半端な鬱エンドに持って行かれるよりは兆倍マシだったろう。
ゲームで言うと「Mafia:The City of Lost Heaven」のエンディングみたいにするとかさあ。
ニキータ……はちょっと違うか。


原作にない子供殺しのエピソードが出てきた辺りでちょっと嫌な予感はしたし
18話の廃屋でのイベントもうまく纏めたとは思うけどどっか引っかかるところがあったり
25話の教会での玲司とエレンのシーンも大幅に省略されてた辺りもちょっとあれっと思ったし
そもそも日本編になってから演出も脚本もどうしようもないレベルでおかしいシーンが散見されたし
最終話も所々作画がひでえし
問題のシーンの二人のモノローグが「エレンと交わした約束を胸に未来を思う玲司」と
「玲司とこれまで生きてきた時間があれば何も要らないと断言するエレン」で壊滅的にかみ合ってないし
なによりこれ見よがしに近づいてくる馬車を見た瞬間にまさかとは思ったのだが。
それと撃たれて倒れた玲司の方に振り返った後に「心からの笑顔」を見せるエレンってのはいくら何でも構成的にあり得ないと思うんだが
まさか玲司が死ぬのはエレンの差し金だったって事で良いのか? だとするなら先述した噛み合わないモノローグに一定の説得力が出てくるが。


TVアニメ版のテーマとして「因果」というのがあるように感じたから
子供殺しのエピソード辺りが玲司を殺す因果としての表現だったのかなーとは思う。
ただそのテーマを表現するためのエピソードを原作に差し込むにとどめて、
原作にあった物語自体はあまりいじっていない(ただし描写自体は大幅に省略)あたりが
ラストに至るまでの違和感やちぐはぐさを感じる原因になっているのかね。
原作が原作の各エンディングに向けてエピソードを積み重ねているのに対して
アニメ版は完成している積み木の途中にパーツを差し込んで無理矢理向け先を変えようとしている感じ。
やるなら子供殺しのエピソードも含めて物語全体を換骨奪胎してやる必要があったはず。
そうすれば「原作とアニメは別物」という制作側の言葉にも説得力が備わるのに。


結果として
「途中から自ら決意した事とは言え、偶然巻き込まれて全てを奪われ殺し屋に仕立て上げられ
 仲間には裏切られ約束も守れず記憶と過去は戻ってきたけど過去と同じ生活にももはや戻れず
 せめてこれだけはと最後に残った誓いの成就も見届けられずに朽ち果てる」
という巻き込まれ型主人公としては珍しいくらい悲惨な末路が描かれたわけで。


ああ……誰かこの記憶を消してくれ……