ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

DQ11雑感

DQ11雑感

50時間くらい。シナリオ面とそれ以外で思ったことをつらつらと。
ネタバレには配慮していないのでFinまで行ってないひとは回れ右してください





■シナリオ面以外
「テンポが悪い」の一言に尽きる。3DS版の2Dモードがなかったら確実に投げてた。とくに戦闘は早い設定でもエフェクトがたるくて仕方ない。あと2段階は早い設定がほしい。メッセージ表示もポポポ音のために表示が妙にちんたらしてるし……
バトルの難易度は控えめで、あまりレベリング的なことはしなくても概ね問題なかった。ボスのターン飛ばし攻撃がやたら豊富でちょっと笑った。初見殺しの痛恨確定攻撃とターン飛ばし行動の事故以外で死ぬ要素は無いと思う。ただスキルの振り直しが終盤まで解放されないのでこの辺ミスると苦戦を強いられそう。
バトルバランスは3DS版とPS4版で結構違うらしいのでそのうちPS4版も通しで触ってみたい。


新曲はフィールド曲と大樹の曲以外ほとんど記憶に残ってない。印象的なシーンに過去曲使いすぎなのがいけないのだが……そのフィールド曲でさえ時渡り以降は「冒険の旅」に置き換わってしまうわけで。


3DS版の売りの上下二画面連動、実際に出されてみると序盤だけで終了なのは納得。全編これでやろうとするとマップの作りが2D側に引っ張られるので絶対面白くない。カットシーンも3D側の「演技」を2D側で待たないといけないので結局3D側しか見なくなる。独立で正解だと思う。


DQXで鍛冶そのものには慣れていたが、人数分やんなきゃいけないというのがこれほど面倒だとは予想していなかった。素材もDQXほど豊富に手に入るとは言いがたく、バザーみたいな救済もないのでなんだかんだでよほどのことがない限りは店売りで済ませちゃう。しばりプレイが絡むとまた話は別なんだろうけど。


ショップでのステータス変動を確認するときのUIもうちょっとなんとかならなかったんですかね


■シナリオ面
最初のスタッフロールまでの話はなかなか纏まってて見どころは多いと思う。仲間キャラも立ってるしそれぞれにきちんと見せ場もある。特にシルビアは良い意味で予想を裏切られましたね。ただしグレイグてめーは駄目だ。なんでシレッと仲間面してんのお前。一周目世界でのベロニカの死の一因なんだしセーニャも聖地で会った時くらいなんか言え。


でも最初に聖地ラムダに到着したあたりから展開がかなり巻き気味になるの、何らかの事情を邪推せずにいられない。


3Dモードのデモシーン見てると「もう主人公喋っちゃっていいんじゃないの」と思う。パントマイムが許されるディテールはDQXあたりが限界じゃないでしょうか。
今回の主人公、プレイヤーの投影対象としても物語を牽引する存在としてもどこか中途半端で好きになれなかった。とくに時渡りしてからの行動が明らかにおかしいのでニズなんとかさんと時間旅行してる時に意識が混ざり合っておかしくなったんだろうと勝手に解釈している。この辺の乖離はDQ8もそうで、あれは行く先々で主人公が賢者の末裔を見殺しにして回るゲームなのでモチベーションの維持が本当に大変だった。テンポも悪いしそういうところもなんか11に似てるな今にして思えば。


表ラスボスのウルなんとかさん、主人公に勇者として覚醒して大樹に行ってもらわないと困るのに、何度か本気で殺そうとしたりしてるし行動がフラフラしていますね……? 最初のエンディングまでは纏まってると言ったけど主人公やウルなんとかさん絡みの話は唐突感すごくて逆に浮いてる感じ。あいつらあっさり大樹まで来ちゃってたけど聖地の連中何してたの? 寝てたの?


ハーマンさん確実に何人か殺してると思うんだけど何かイイ話で終わってしまった。罪状不問で済むのか。ええんか。



■時渡り関連
正直良くわからない。
思うに時のオーブについての描写が作中で一貫していないのがいけない。時のオーブを主人公が砕いた時点で「"ベロニカが死亡しており、主人公が過去に消えた未来世界"と"過去に帰った主人公がやり直した世界"にパラレルワールドとして分岐」したのか「主人公だけが未来の記憶を持ったまま世界すべての時間が巻き戻った」のかが作中ではっきりしない。曖昧だとかどちらとも取れるような描写だとかいうレベルではなくテキトーさを覚える。
時渡り前の時の賢者のセリフや二周目世界で仲間が「これから起こる一周目の出来事」を意識する描写があるので「時間を巻き戻して上書き」と思っていたんだけど、二周目世界の命の大樹での一連の出来事の後「砕けた時のオーブをみつめる時の賢者」というシーンがわざわざ挿入されたり(過去世界の時のオーブは健在)、最終エンディングのオチがあれだったりパラレルであるという描写とが両方存在する。あの塔はクロノトリガーの時の最果てみたいな感じで、あの塔の中だけは時の流れの埒外なので「時の賢者はすべてを見ている」という解釈もありうるんだけど、それじゃあ二周目世界の時のオーブは砕けていなければならず、二周目世界の時の賢者は一周目世界の主人公たちを覚えているはずなのだがそんな素振りはない。


なにがしんどいってパラレルだとすると主人公は育ての親にすら何も言わず未来世界を放置して過去に帰ることを選んだカスということになっちゃうわけですよ。「主人公がいなくなった未来世界」がそのまま残り、過去に戻った主人公の行動が未来世界に何の影響も及ぼさないのなら、それは本質的には誰も救えないただの自己満足なんですよ。しかもゲーム展開によっては主人公は「二周目世界のエマ」と「常ならざるものの力を行使して」結婚にまでこぎつけてしまう。カス! なので主人公たる私めがそんなクズでなかったと信じるためにも個人的には巻き戻って書き換えている説を推したい。


そうでなくてもDQ11の主人公は何かと私のコントロールを外れるのでつらく、ラストでセニカを過去に戻しちゃったのは本当に理解不能だった。もしも巻き戻しからの上書きルートだったとするなら、過去世界はローシュとセニカで勇者の証持ちが二人になってしまうし、セニカはローシュがいかにして死んだか知っているわけで、過去に戻れりゃ当然ローシュの暗殺を阻止にかかるだろう。つまりローシュ一行が邪神に負ける要素がなくなってしまい、そうなればロトゼタシアの前史が大きく変わってしまう。主人公たちが誕生すらしない可能性だってある。しかしセニカが過去に戻っても主人公たちの世界に改変の兆しはない。そうなるとやはり戻った分だけパラレル世界ができると解釈するしかなく、主人公は今いる自分たちの世界に影響がないのを知っていたからこそセニカを過去に送り出してやったのだ。フェイスフラッシュみたいな汎用性してんなお前のその痣な。


セニカの件以外にも、命の大樹喪失後の物語がまるっとなかったことになってしまうところに関してはもうちょっと葛藤の描写が欲しかったと思う。パーティ再加入時のイベントの各々の成長や葛藤すらなかったことになってしまうわけなのだから。黄金城なんてカミュのいわばオリジンが明かされる重要なエピソードで、あれがなくなってしまうと一周目世界のカミュと二周目世界のカミュでは大きく人格が変わってしまうのではないだろうか。マヤの成長のことを考えても二周目の穏便な決着はちょっと違うんじゃないかなと思ったりもする。


「自己満足のために自分だけ過去に逃げるのか」という葛藤を、しゃべらない主人公を通じてプレイヤー自身にやらせる構図が「元の世界に帰るために今いる世界すべてと引き換えるのか」という葛藤をプレイヤーにやらせた「ゼルダの伝説 夢をみる島」とかぶる。二周目世界はイベントがダイジェスト感ありありであんまり面白くないのは「イヤなら最初のエンディングまででゲームをやめるべきだったんだよ」という後ろめたさを演出するためなのだろうか。


一周目世界で人魚が死んでても二周目世界だと普通に生きてるのは何なんだろう。一周目では分岐なんだけど、死んだ場合も二周目世界ではなんか生きてる。主人公は時間を遡ったと見せかけて、単に「似た世界の時間軸」に飛ばされただけであるという示唆なのだろうか。


ぼうけんのしょ
――いや本当はわかっているんですよ。時のオーブが「冒険の書」のメタファーだということは。
主人公が時渡りをする時「今、時を紡いでいる最新のオーブを砕けば、おそらく過去に戻れる」という旨の発言をするわけですが、これはつまり「既に時を紡ぐのをやめた古いオーブ」の存在を示唆しているとも言える。
ドラクエにかぎらず、手動セーブでセーブスロットが複数あるようなゲームを遊ぶ時、どういうふうにセーブをするだろうか。重要な選択肢や後戻りのできないような場所でセーブをする時、セーブデータを2つ作る……あるいはそれまで使っていたセーブスロットとは違うスロットにセーブをするのではないだろうか。そしてセーブスロットの数が多ければ多いゲームであるほど――取っておいた過去のセーブデータに「上書き」する機会は訪れないのではないだろうか。時のオーブとはつまり冒険の書であり、セーブデータのことだと思うのだ。
主人公は「最新のセーブデータをリロードして破棄」したから時間が巻き戻り、違う歴史で上書きした。時の賢者は「既にいくつも世代が進んだ過去のセーブデータを破棄」したから破棄したところから新しい歴史が生まれたが、それは既に確定した未来のセーブデータには影響を及ぼさなかった。これだ! 巻き戻し説とパラレル説を両立させるにはこの解釈しかない! やがてセニカの歴史が主人公たちの確定済みの未来のセーブデータを上書きし始め、パラレルワールドとして分離したはずの主人公たちの世界がセニカの戻った世界に乗っ取られ始め、パラレルワールド同士の対立に繋がり、じつはそれはローシュに倒される直前のニズなんとかさんが最後に仕組んだ策だったのだという感じで。クロノクロスだこれ!
今回、二周目のスタッフロールがひどい楽屋落ちであることを考えてもセーブデータそのものをパロってる可能性は十二分にあると思う。それが面白いかどうかはともかく……