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ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

初音ミク and Future Stars Project mirai 感想

クローバークラブまでの全譜面制覇。
これ以上の隠し曲がなければ全曲攻略。


■ファンアイテムとしては最強
おそらく、初音ミクのファンアイテムとしては現時点で銀河最強といえるのではないだろうか。なにしろ初音ミクそのものも含めて、普段こういうものにとんと興味のないウチのような人間が買ってしまったのだから。
それほどこのゲームのビジュアル部分の完成度は素晴らしい。ねんどろいどシリーズをモチーフとしたキャラが踊るPVを観て一気に持っていかれてしまった。


■プロの仕事
このゲームの主役は、初音ミクを始めとしたキャラクターだ。そして、「キャラクターを引き立てるため」に、惜しみない技術と努力をこのゲームは注ぎ込んでいる。
「愛らしい」の一言に尽きるモデリングやモーションを含めたキャラクター造形に始まり、曲の背景で流れるダンス、PVに至るまで、いたるところで「キャラクターを可愛く見せるための工夫」を凝らしているのが見て取れる。
小さな手足を必死で伸ばし、表情豊かに歌って踊るキャラクターは実に愛らしい。しかもある程度口パクもあわせてあり、指の動きに至るまできちんとモーションが付けられている。


驚いたのは、元ネタが動画であるPVをきちんと3Dボリュームに対応させてあったこと。
このゲームのゲーム中に流れるPVには2種類あり、ひとつはねんどろいどモデリングのキャラクターが歌って踊るもの。
もう一つはニコニコ動画などで製作されたであろう手書き・FlashのPVをそのまま持ってきたものなのだが、圧巻なのは後者のほう。
単に動画ファイルを再生しているわけではなく、3Dボリュームに対応させるために、わざわざ素材レベルで再レンダリングし、3Dモデルとして動かしているのだ。
一般の3DSゲームであれば、3Dボリュームを上下させても立体視の度合いそのものに変化はなく、立体視のオンオフが選択できるのみで、単に動画を再生するだけであればこれで問題はなかったはずだ。
しかしこのゲームはそれをよしとせず、素材レベルできちんと元のPVに合わせた動きになるように、動画ファイルの垂れ流しではなく手付けでPVをレンダリングしている。
その結果、どのようなPVであっても、個人の好みの立体視度合いでPVを楽しむことができるようになった。
やりすぎてごく一部で処理落ちを誘発*1してしまっているのはご愛嬌か。


これこそまさにプロの仕事。ウチはこの手間を惜しまなかったセガ・AM2研のスタッフに惜しみない賛辞をおくりたい。
こういう手間の積み重ねが結実し、キャラクターを愛でるソフトとしてはまさに銀河一の存在になったと言ってもいい。
初音ミクねんどろいどになったから何だ。PVを立体視に対応させたから何だ。
そういうふうに考えていた時期がウチにもありました。本当にすみませんでした。


収録曲もキャッチーで耳に残り、ミク白帯のパンピーであるウチでもすんなり聞くことができた。バリエーションも豊富で、カイト以外はメインボーカル曲が1曲は用意されている。
正直遊ぶ前までは、「所詮合成音声よ」と侮っていたフシがあるのは認める。本当にすみませんでした。


■癖の強い音ゲー


キャラゲーとしては非の打ち所の無いこのゲームなのだが、肝心の音ゲー部分の癖が強すぎるのはちょっとウチにはきつい内容だった。


このゲームの音ゲー部分は、「時計のようなリングが出現し、やはり時計の針のように回るラインに合わせて、指示されたマーカーのボタンを押す」というシンプルなシステムなのだが、シンプル故か非常に癖の強さが目立つ。


まず判定が非常に独特。話を聞くとPSP・アーケードで展開している「Project DIVA」系の判定を引き継いでいるそうだが、早押しに非常に厳しく、遅めの押しにはある程度寛容という、いわゆる「めり込み型」の判定になっている。
しかしこの判定、早押しにはほんとうに厳しい。耳では分からないレベルで早かったとしても容赦なくGOOD判定を突きつけてくる。逆に遅めには判定が緩く、どう聞いてもズレたろ、というところまで引っ張ってもパーフェクト音が出る。
ウチは音ゲーのリズムを早押し気味にとる傾向にあるらしく、このゲームは自分のリズムで遊ぶことができない。確実にGOOD判定を頂くことになるからだ。ノリ通りに押せず、常に「気持ち遅め」の操作を強いられるのはなかなかに辛いものがある。
慣れれば問題ないとはいえ、こういう気の使い方を他の音ゲーではしたことが無いので、この点で個人的評価を大きく下げている。


また、このゲームのボタン評価は「Perfect」「Good」「Bad」「Miss」の4つで成り立っており、このうちGood評価まではゲーム的にはミス扱いにならないが、Good評価でもBad・Miss評価と同じ音が鳴ってしまうのが個人的に大きなマイナス。
Perfect時には「シャン♪」という音に比べて、それ以外の評価の「ピス」という味のある音の持つ屈辱感が凄まじい。
せめてGOOD評価までは同系統の音にしておいて、それぞれ音程やボリュームが違うというあたりで妥協して欲しかったところ。


譜面設計も非常に独特で、曲のリズムよりは歌詞のテンポに合わせたマーカー配置になっていて、これまたウチには少々違和感の残る設計。
譜面と言えば先述したリングの出現方法もそうで、リングが複数出てきたときに、ボタンマーカーがリングの重なってる部分のせいで物理的に見えない場面があり、覚えないと絶対押せないようなリング配置が割と低難易度のうちから出てくるのはちょっと無理がないかなあ、と。
最高難易度であるトコトン譜面の高次難易度は、8分連打中にリングとボタンが同時に切り替わる箇所があり、むしろこの要素を多用して難易度の底上げを図っているフシが。
音ゲーの1要素として「覚えゲー」の側面があるのは確かにそうで、こういう要素も譜面を覚えてしまえばどうということはない要素なのだが、「マーカーがギチギチに詰まってる」のと「マーカーがそもそも初回プレイで見えない」のでは覚える前に感じる理不尽度が違う。
もっとも「クローバークラブ」のトコトン譜面のように、曲とリング演出を上手くマッチさせている場面があったりもするので、一概に悪いシステムとは言えないのも確かだが……


ウチはクリアに苦労することはなかったが、ホドヨク後半〜トコトン譜面はいやらしいリング配置の曲が多く、全難易度*2高次難易度をクリアしないと解禁されない隠し要素もあるため、完走保証で譜面が予習できるトレーニングモードはあっても良かったと思う。
ミスが多いと曲の途中でもゲームオーバーで強制終了してしまうため、リング配置や譜面を全て死に覚えしなければならない。これは脱落者が出てしまうはず。


このあたりの、音ゲーとしての窮屈ぶりは非常に残念。それでいて、1曲あたり3難易度存在する各譜面を*3高次難易度の譜面を制覇して行かないと出ない隠し要素や衣装*4があるため、嫌でも音ゲーに付き合わないといけない。
とくに、一部の曲に用意されたメインボーカルチェンジ機能は難易度攻略でしか解禁されないため非常に辛いと思われ、ここらの間口はもうちょっと広くしても良かったはず。
ボーカルチェンジで歌詞が変わる芸の細かい曲もあるだけに勿体無いことしきり。


■総評
繰り返しになるが、初音ミクのグッズとしては比肩するものの無い、まさに最強のパッケージである。ましてやミクファンであるならば、このソフトを手に取らない理由は存在しないと思われる。
ゲーム中でスクリーンショットを撮影することも、ARカードを使って自分のお部屋にミクを召喚することもできる、まさに無敵のファングッズだ。
ゲーム部分をおまけと割りきってしまえるならば、このソフトのもつポテンシャルはほんとうに素晴らしい。
反面、音ゲーとしては窮屈。良くも悪くもAM2研らしい、極端な味付けが施されている。ゲームとしての好き嫌いはかなり別れる内容に感じられる。


まずは3DSからe-Shopにアクセスし、このゲームの体験版を触ってみるのが間違いない。音ゲー部分に感じるイライラも、ダンスも、PVも、体験版にはひと通り入っている。
収録曲の「トリコロール・エア・ライン」は、全曲中屈指の意地悪裏打ち譜面であり、「L.O.L」は、立体視PVの威力をまざまざと見せつけてくれる良クリップだ。
この体験版で少しでも魅力を感じ入る所があるならば、まず間違いなく製品版も楽しむことができるはずだ。


※2012/03/21
 コメント欄での指摘により、事実誤認部分を修正。
 指摘いただき感謝。

*1:一番良くわかるのは「PianoGirl」のPV

*2:2012/03/21修正。全部はやらなくてもよいとのこと

*3:2012/03/21修正。上と同じく、全譜面は必要ない

*4:2012/03/21修正。衣装は難易度に関係無かった模様