ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

Vectrex紀行 HYPER CHASE

「おい、ぽっくんモグラー ぽっくんモグラーはどこだ」


はい、お嬢様


「随分間があいたわね?」


申し訳ございません。少々私生活がテンパっておりまして。


「そんなことよりVectrexよ、ぽっくん


かしこまりました。今回の出物はこちらでございます。



名前はハイパーチェイス。見ての通りのレースゲームでございます。
日本版には「君はF-1 レーサー!」という、今では考えられないような煽りが付いていたようですね。



「下敷きは比較的シンプルな作りね」


あまり見るべきところはありませんね。このゲームに関して言えば。



さてこちらがゲーム画面でございます。


「普通だわ」


時代が時代ですので、比較的オーソドックスな3Dレースゲームの画面でございますね。
あまり説明するところもないのですが、一応各部の解説をしておきましょうか。



こちらがお嬢様にご搭乗いただくマシンでございます。
6段マニュアルギアにアナログ入力機能、自己再生機能を搭載した最新鋭機です。当時の。


「再生機能?」


この当時のレースゲームの文法に則り、路肩や敵車に接触したらこうなります。



「ばらばらね」


ばらばらでございますね。しかし心配御無用、このやく1秒後にはマシンは再生
お嬢様は再び栄光のゴール目指して疾駆することが可能になるのです。


「便利ね」


まったくでございます。あとはやはり、このゲームのアナログ入力対応について触れておきましょうか。


「アナログ?」


このゲームは操作が少々特殊でございまして、もともとVectrexというゲーム機が
アナログスティック搭載だったということは以前チラリとお話ししたかと思います。
このゲームはその機能をフルに活用した一本でございまして、スティックの倒し具合によって
自機の場所をスムーズに動かせるという画期的な機能を搭載しております。
……まあ、プレイしてみればわかります。どういうものなのか。



あとは画面上部にチラチラ数字が並んでおりますね。
左側がスタートからの経過時間。真ん中の数字が現在のギアの段数となっております。


「制限時間みたいなものはないのかしら?」


このゲームには特にございません。残機制限等もありませんので、
以下に早く一定距離を走り切るかというようなゲームとなっております。



さて、お嬢様?


「……盛り上がらないわ!」


と、仰いますと?


「まずはこの操作ね。さっき貴方からの説明を聞いたときは
 アナログスティックでマシンの左右移動速度が変わるものだと思ったのだけど、
 実際にはそうではないのね」


誰もが一度は通る道ですね。このゲームはスティックのセンターを中心として、
ゲーム内のマシンの位置が常にスティックの絶対座標と連動するようになっております。


「そうなの。おかげで細い道で敵車をかわすのがかなり難しいわ」


そのもどかしさを楽しむゲームの筈なのですが、少々シビアすぎるきらいもありますね。



「ゲームとしてみても、プレイ中にちょっとオモシロイと思ったのはこのトンネルの中だけで、
 あとは基本的に代わり映えのしない背景を延々走っていくだけだし
 ゴールしても"END"の文字が出るだけでファンファーレすら無いのね」


風景変化で楽しませるゲームとしてみると、
このゲームの3年後に出たアウトラン*1まで待つ必要がありますから。


ちなみに、私が親しくさせていただいているスタジオ【レトロゲーム遊園地】
のオフ会が今月開催されまして、その場にVectrexを持ち込ませていただいたのですよ。
もちろんこのゲームもプレイしていただいたのですが、大多数の方がお嬢様と同じ感想をいだいておりました。


「まあ、そうよね」


ただ、この走るだけのシンプルなゲーム性を気に入られる方も若干名ながら居られたことも事実でございます。


「たしかに、スピード感は悪くないわね。敵車の配置が難しすぎて6速を維持できないのだけど」


公式の「Vectrex FAQ」という文書にも「very bad driving game」とか書かれておりますからね。
開発者としてもこのゲームの不出来は認めるところのようです。


「他にレースゲームはないの? この前のWEB WARSもそうだったのだけど
 スピード表現のあるゲームがもっと見てみたいわ」


左様でございますか。それでは、Vectrexには
もう一本レースゲームが出ておりますので、
次回はそちらをプレイして抱くことに致しましょう。


「……面白いのよね?」


そちらも含めまして、次回のお楽しみということで。

*1:言わずと知れたセガの名作。アウトランは1986年で、こちらは1983年