ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

機動戦士ガンダム 新ギレンの野望 感想

ギレン編、レビル編、アムロ編クリア


申し訳ないが、ウチにはこのゲームが完成品とはとても思えない。
ゲームバランス、AI、操作性すべてが中途半端すぎる。


なんといっても特筆すべきはAIの馬鹿さ加減。
このシリーズは伝統的にAIが致命的に馬鹿で、


・戦闘を委任(AI自動戦闘)にしたら1機のドムを取り囲んだまま10ターン放置された
・地球の制圧が完了したのに延々陸ガンを生産キューに入れられ続ける
・撤退の二文字を知らず、玉砕するまで戦い続ける敵CPU*1


など、名物行動の枚挙にいとまがない思考内容となっており、
それを補うためか、敵軍は資金や開発・生産速度にブーストが掛かるようになっており
基本的にそこでゲームバランスを無理やり補正する方向にチューニングされておりました。


これが今作で追加された「パイロットモード」などのモードの出来に大きく影を落としております。
上記の通り、このゲームはAIに任せると酷い目に遭うので
基本的に全操作を自分でやることになるのですが、
「ゲーム内で描かれる年代を総帥以外の人物視点から追う」と銘打ったモードではこれが出来ず、
モードごとに決められた部隊以外操作できず、残りはすべてCPUに委任するというシステムになります。


自分の部隊だけしか動かさずに済むので楽なモードなのではないかと思いがちなのですが
実際にはバカAIのおかげで通常プレイより遙かに難しいというよくわからない事態になっております。
何を見越しているのかまるで理解出来ない内政AI、
物量押しでしかできない戦闘AI
常に最新鋭機が圧倒的物量で攻め寄せる敵軍チートAIと
内にも外にも敵だらけという手足を縛られたプレイングを強要されることになります。
この圧倒的ハンデを背負いながら、勝利条件は通常の勝利条件*2と変わらないという
実はかなりのハードモードであることが実際にプレイするとわかる仕組みになっています。
ハードモードというか、敵味方AIの執拗な嫌がらせに対処するモードというか。


そもそも、ガンダムと一年戦争という原作を題材に
戦争そのものを俯瞰して采配する「戦略級SLG」に
その中の一パイロット視点という「戦術級SLG」を持ち込む必要がどこにあったのか疑問。
そういうのはGジェネレーション系の作品を出すまでもなく、もう散々やりつくされてるわけで。
あくまで宇宙世紀を題材にしたウォーSLGとしての進化を少なくともウチは希望しており、
キャラクター性を出すためとはいえこんなモードはいらなかったんじゃないかなぁ。
もとより総帥シナリオは内政に軍事に人事にとやることが多いので、
そのステップアップとしてのパイロットシナリオという位置づけであればそれはアリだと思ったし
おそらくはそういう意図でもってこのモードを作ったのではないかなとも思うんですが
それにしてはゲーム内容とバランスがあまりにもひどすぎる。


SLGのキモであるAIがこの体たらくならゲームバランスはもうお察しということで
敵軍の生産スピードボーナスに物を言わせた圧倒的物量にゲーム開始直後から頭が痛くなること請け合い。


その中で一点、ウチが特に気になった点を挙げるとすれば
それはゲーム内時間の経過と研究スピードの対比の悪さ。
ターン進行とユニットの移動速度に比較して研究によるユニットの進化が早すぎるように思います。
極端な例だとロールアウトした最新鋭機を前線に輸送する途中で型落ちになってしまうなど。
敵軍は輸送や生産の制限が大幅緩和されるので、
この辺のジレンマに陥るのはプレイヤー側のみというのがまた憎らしい。


ガンダムゲー的にもイベント上は大気圏でWB隊とシャアがじゃれあってるのに
MAP上には一年戦争中期〜後期のユニットが出始めているっていうのは
絵的に非常にマズいのではないかと思うんですが。


UI・操作性も良くはなく、これまたパイロットモードに顕著なんですが
自分のユニットを一覧表から探すのがとにかく面倒で、
カーソルの最終位置くらい覚えといてくれよという気分になるのは一度や二度のことではないでしょう。


結論


SS版システムの正統続編ということでハードルが上がってた点を差っ引いても
これを楽しむことは大変に難しい。
テストプレイやバランス調整した痕跡がゲームを遊んでても全く感じられない。
OPムービーにいるのに本編に出てこない機体も多く、
DLCによる追加よりは後発で完全版が先に出るであろうという点も踏まえ
このゲームをオススメすることは申し訳ないができかねます。
サターン版で我慢するか、前作の「アクシズの脅威V」のほうが面白いとウチは思います。

*1:PSP版の前作「アクシズの脅威V」で多少改善

*2:敵本拠地の制圧