1周クリア。難易度ノーマルで13時間くらい。
だいたいJRPGの何が嫌われ、何が「JRPG(笑)」などと言わしめているかというと
なんだかんだ言っても大体
- イベントが長ったらしい、つまんない
- 脚本が陳腐
- システムがつまんない
このあたりに要因が集約されるんじゃないかなーとウチは考えておりまして
そのうえであえての「決起集会」を開催してまでオリジナルタイトルJRPGを売ろうとする心意気。
これは期待せざるを得ない。そう考えるのが普通じゃないですか。
たとえイメージエポックの打率が低かったとしても。
その実、この「最後の約束の物語」はまさにその「駄目なJRPG」の
見本となるようなゲームであったというところに
ウチは震えが止まらない。
まずシステム。今回の戦闘システムのウリである「ヘイト」システムから。
MMOでは比較的ありふれた概念であり、最近だとWiiの「ゼノブレイド」が
ヘイト値の管理を戦闘システムに組み込んでいたこのシステムを
ターンベースのRPGに組み込んだらどうなるかという話だったと思いますが
正直「もうちょっとやりようがあったんじゃないの?」と首を傾げざるを得ない出来。
このシステム、序盤はなかなかうまくまとまっています。それは敵の火力が高めの調整なのに対して
主人公パーティのスタートラインが比較的低い位置に設定されているから。
ともすればバランスが悪いといわれるところを、育っていないパーティメンバーの役割を考えつつ
システムを活かして撃破していく戦略的な快感を、序盤のこのゲームは確かに持っています。
また、このゲームには「SP」というロマサガのLPに似たシステムが搭載されており、
SPが尽きたキャラは復活できないという比較的シビアなシステムが採用されていて
「戦闘不能になってもなんでもいいからとにかくごり押す」ということは出来るだけさせないようになっていて、
これとヘイト値管理の戦闘システムは比較的うまくかみ合っていると思います。
序盤だけは。
序盤以降「ディフェンスライン」を理解するようになってからがこのゲームの真の姿であり、
多分数回のトライでこのゲームにおける「最適解」を理解できてしまうのではないでしょうか。ここでは書きませんが。
この戦法を確立してしまうと、あとはこの手のゲームにつきものの「敵遭遇時の不意打ちによる即死」と
「ボスキャラクターの初見殺し特殊攻撃」だけ諦めていれば済むくらい難易度が下がってしまうので、
戦闘の楽しさはあまりなくなってしまいます。
その戦術を縛れば良い話に思われるかも知れませんが、このゲームはパーティメンバーの能力設定がピーキー過ぎるのか
自然とこの戦術に行き着くようになってしまっているのが辛いところで、
あまり戦術に自由度がないように感じられるんですね。
基本的に選択肢が「壁か紙か」しか無いので、最終的にはこの戦法で押さざるを得なくなる。
「探索拠点と敵出現エリアがそれほど遠くない」「レベルアップ時体力全快になる」等
システムのシビアさと相反するような微妙な難易度低減仕様が混在していたり
敵のヘイト値が常時見える(しかもヘイト値で敵のターゲッティングが変わるたびにオペレータが教えてくれる)システムの都合上
序盤以降は不意打ち事故死以外での死因がほとんどなくなってしまう。
これではキャラクターロストまで視野に入れたシステムそのものが全く死んでいる。
フリーズや電源落ちなどバグも多く(不自由人はクリアまでに4回遭遇)、
UI使いやすいとは言いづらい。
イベントスキップはおろか戦闘のエフェクトカットすらなく、
敵に攻撃するたびにオペレータが「敵のターゲットがかわりました!」と叫ぶ始末。
改善すべき箇所はいくらでもあるし、まっとうにテストプレイをすればすぐに気になる部分ばかり。
なぜもっとデバッグがんばらなかったんだ?
序盤のバランスや敵モンスターのデザイン等、光る部分はないわけではないのに
調理を完全に間違ってるという感想。もっとうまく作って欲しかった。
以下、多少のストーリーネタバレを含む長文。
えーと、ここははっきり言っておきます。
このゲームのストーリーはゴミです。
脚本、演出、モデリング
どれをとっても極めて悲惨と言わざるを得ない出来。
このゲームは全編通じてわずか1日の間を描いた物語なのですが、
この設定と、冒頭のオープニングイベントの時点でウチの脳内はかなりくらくらになっていました。
詳しくは述べませんがこれはあまりにツッコミどころが多すぎる。
ツッコミどころを演出でカバーできているかというとそんなこともなく、
ポリゴンデモシーン、紙芝居シーンともに手の施しようがない酷い内容。
主人公の騎士団も国王連中も感情移入できる要素に乏しく
思わせぶりな伏線や背景設定もかけらも見せたり活かしたりすることなく唐突に始まるエンディング。
世界観に関しては、このゲームは設定上世界のあちこちに足を運ぶような内容ではなく
ひとつの国とその王宮付近で全ての物語が完結する脚本になっていることもあって非常に窮屈な印象。
同じような風景にミッションでなんども出向くことになり、序盤から既に漂うマンネリ感。
ストーリー進行のシステムも何か変で、基本的に
ミッションを受注→ミッション達成→ゲーム内時間が進む→特定の時間ごとにイベント発生
という流れを繰り返してゲームが進行していくわけですが、このミッションには
「救出」「奪還」の2種類があり、それぞれどちらを受注するかで
その後の展開が申し訳程度に変わるようになっているはずなんですが
申し訳どころか殆どかわらねえぞおい。一応どちらかに偏りすぎるとバッドエンドになるらしいのですが。
あとどんな任務でもゲームない時間の進行速度が変わらないのが違和感。一律20分進行ってお前その内容どう考えても20分じゃ終わってないだろ。
結論
残念なゲームです。戦闘システム的には褒めたいところがあるのですが
不満点や中盤以降の戦闘バランスがすべてを台無しに。
シナリオもひたすら薄っぺらでプレイヤーは置いてけぼり、
続編への含みとプレイヤーのやるせなさだけを残しつつ唐突に終了。
後に残るは倉花千夏氏描くところの美麗なキャラクターデザインと
中堅どころを固めた微豪華な声優陣の演技のみ。
これこそイメージエポックが打破しようとした、唾棄すべき旧態依然の「JRPG」の姿ではなかったのか?
「きちんとつくった」結果がこれなのか? それともこれは「お前らがありがたがるオリジナルRPGなんてこんなもんだ」
というイメージエポックの高度な皮肉なのか?
だからこそJRPG決起集会などといいつつ、同時に典型的キャラゲーであるブラックロックシューターのゲームなんて発表したのか?
申し訳ないがウチはこのゲームに価値を見出すことは出来ない。
発売前の大言でハードルがあがっているところに、ゲーム自身が止めを刺している。
あくまでキャラクターだけを目的に購入する人には良いのかもしれないが、そういう人には序盤の微妙な高難易度が邪魔をする。
同社のセブンスドラゴンと同じく「佳作にもバーボンにもなりきれなかったゲーム」としてウチの胸の奥にその存在をとどめ置くほかにすべはもはや残されていない。