ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

けもの2 終演

あらゆる方面からの口出しを全て聞き入れて作った、どこを切っても大人の事情しか見えてこないようなアニメだった。
これをきちんと1クール完走して納品したという点においてはスタッフは賞賛されるべきなのだと思う。




それはそれとしてアニメ作品としての私の評価はかなり下に位置させざるを得ない。あまりにも構成と展開が雑に感じるし、映像的にも最初から最後まで低空飛行のままだった。イエイヌちゃんみたいなキャラとエピソードが作れるんだから素材の時点でもう駄目だったということはありえないし、他にやりようは幾つもあったはずなのだ……
中途半端に1の展開をなぞろうとするとか過去キャラを出して1のファンに目配せするとかしてしまって2の独自性が薄まってしまったというのは否定しようのない事実なので、この辺バッサリ切ってイエイヌちゃんのエピソードを中盤のクライマックスに持って行って動物園という存在を掘り下げたほうが良かったんじゃないかなあ。


ヒトと動物が関わって動物の野生が歪められたり悪影響があったりする という描写は1話のカルガモから始まり各話にずっとあって、3話の何かとご褒美を要求してくるイルカ軍団なんて完全にそういう描写じゃないですか。ヒトの都合で野生にない習性を植え付けられてしまったと。なのでけものフレンズでこういうテーマを突き詰めてやるというのはかなりの可能性を感じたんですよ。
そういう描写を積み上げていって、ヤマ場として「ヒトと家がないと存在し得ないイエイヌちゃん」のエピソードが出て来ることで、ヒトが身勝手にパークを作り、そして身勝手に放棄してしまったことの罪の部分を、ヒトを自称してフレンズと一線を引きたがるキュルルにつきつける……みたいなそういうやつです。
今回の作風がえらくギスギスしていて、キュルルとアニマルガールとの間で何かを分かり合うとか何かを解決するという展開が基本的に無いのは、そういう重めのテーマでやりたいのかなと思っていたんだけど、どれもこれも……それこそこの物語の発端の大目標たるキュルルの家探しですら有耶無耶のままに終わってしまった。
本編中で触れられた船のセルリアンとかキュルルの絵からセルリアンが出てくるみたいな話も何も解決すること無く終わってしまって、ラストのイエイヌちゃんはあの絵からセルリアンが出てきたら秒で食べられてしまうのではないだろうか。


1を引き継ぐという制約も大きかったようで、1のキャラは出さないといけない、1みたいな展開が欲しいから「最初出来なかったことを終盤で達成して成長を描く」というのをやらないといけない。そのうえで「けものフレンズのプロモーション」をしなければならないので新しいアニマルガールは出さないといけない。
内外からのノルマがきつすぎて、時間も無いので上辺だけしか整えられないから、展開も演出も雑で稚拙になっていって、どうにか出てきたのが放送された映像だったとそういう印象だった。変に1を意識して中途半端なことをやるよりは新しい物語を新しいテーマでやって欲しかったんだけど、商売としてにそっちに全ツッパするのはまあ難しいですよねってのもわかるし、本当にただただ寂しさしかない。


他にも映像・歌詞ともに本編との乖離が激しいOPとか、エピソード間どころか連続したカット間ですら整合性がしばしば維持できなくなってる処とか、舞台裏がいかにバタバタだったかが窺い知れる要素にだけは事欠かない感じで、こう……つらい。2ndEDでシェーダのかかってないポリゴン素体が出てきたときは本当にどうしようかと思った。


いま私はイエイヌちゃんがあまりに勿体ないという一心でこのエントリを書いているのだけれど、なまじこういう1とは違う強い輝きを放ちそうだった要素は散見されるだけに、けものフレンズ2はただただ残念としか言いようが無い……