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ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

プレイステーション オールスター・バトルロイヤル 感想

VITA ゲーム感想

プレイ時間10時間ほど。
お祭りゲームの皮をかぶった、純然たる「対戦ツール」


※本記事はすべて「PS Vita版」を購入・プレイしての感想である旨をご承知おきいただきたく。

■「ソニーのスマブラ」?
「プレイステーション オールスター・バトルロイヤル」(以下、PSBR)は、プレイステーションというプラットフォームに発売された、今をときめくキャラクターたちが一堂に会して戦いに身を投じるという、いわゆる「お祭り」ゲームだ。
ゲーム的に極めて近いのが、任天堂の「大乱闘スマッシュブラザーズ」(以下、スマブラ)シリーズであり、順序でいえばむしろPSBRの方がスマブラのフォロワーにあたる。そのフォロワーぶりは徹底しており、一度でもスマブラをプレイした事のある人なら、このゲームについてもなにも違和感なく操作できる事は間違いない。
もっとはっきり言ってしまえば、操作感覚やキャラクターの吹き飛びモーションと言った「ゲームのシステム」に関してはスマブラの模倣と言っていい。それもただの模倣ではなく、極めて丁寧にスマブラを研究し、あの操作をPSBRというタイトルの中に「再現」することに成功している。
ただし、このゲームはガワこそスマブラのコピーだが、スマブラとははっきりと違うゲームである。見た目やモーションがあまりにもそっくりなため、何処へ行っても「ソニーのスマブラ」などと呼ばれがちな本タイトルであるが、スマブラとははっきりとターゲット層の分かれるゲームになっていると感じた。
それは、このゲームの「ルール」が、スマブラと比べて「対戦ツールとして」の方向を突き詰めた、ストイックなものに調整されているからだ。


■操作はそのもの
ルールと言っても、基本操作については大差ない。
□ボタンで弱攻撃、△ボタンで強攻撃、○ボタンで特殊技。□は連打すればコンボが出るし、それぞれスティックを倒す方向によって出る技が変わる。
原作的に□と△にそれぞれ攻撃的なアクションが割り振られているキャラについてはモーションの再現にこだわったようで、クレイトスは一部とはいえ原作と同じボタン順で同じコンボが出るし、ダンテはボタン長押しで敵を真上に打ち上げる。
Lボタンでガード。ガード中に左右入力でその方向に無敵緊急回避。
右スティックを倒すとつかみモーションが出て、相手をつかむとスティックの方向に応じた投げ技が出る。


と、先ほどから言っている通り操作感覚はかなりスマブラに近い。
しかし、やはりスマブラとPSBRは似て非なるゲームだ。PSBRとスマブラを最も決定的に別物へと分けているのは、その勝利条件にある。


■ストイックさ
PSBRにおける勝利ポイントの獲得は「相手にスーパーアタックと呼ばれる必殺技をあてることで獲得」する。体力を減らす、相手を画面外まで吹き飛ばすというような概念は存在しない。
スーパーアタックを当てると相手は倒れ、自分は1ポイントを獲得することになる。このルールと、このルールのためにスマブラから、よりコンボ中心に調整されているゲーム内容がPSBRの最大の特徴だ。


スーパーアタックは通常技と違い、APと呼ばれるゲージを消費して発動する。APはレベル3まで存在し、当然レベルが高ければ高いほど強力なスーパーアタックを使用する事が出来る。
このAPだが、原則的に「相手に攻撃を当てる事」でしか溜める事が出来ない。攻撃も単発で当てる分にはゲージの蓄積具合がしょぼく、短時間、あるいはワンチャンスでゲージをうまくためるために、自然「キャラごとにゲージ回収率の高いコンボを習熟し実践」という要素が生まれてくる。
ごく一部の例外はあれど、攻撃を当てさえすればすればいつかは相手が吹き飛んで点数になるスマブラとの最大の違いはまさにここである。このゲームは「攻撃を当てる」ことが直接ポイント獲得に結び付く事はないのだ。



操作キャラクターの技を習熟し、コンボを練習し、さらに必殺技を相手に当てるテクニックを身につけて、ようやく対戦が成立するようになる。この習熟の要求され具合は格闘ゲームのそれである。
それもあって、このゲームは基本的に初心者に容赦が無い。ポイントの獲得手段がゲージ消費の必殺技しか無いので、ラッキーヒットや横取りねらいと言った戦術をこのゲームは許容していない。ゲーム内に「実力差にゆらぎを与える」要素が皆無なので、本当に何もできずに終わる可能性がある。このゲームは実力差に大変シビアだ。


その分、実力を研鑽する楽しさは確実にある。キャラクターはどのキャラも強烈に個性付けされていて、コンボルートはおろか立ち回りから各キャラクターに最適化する必要がある。トレーニングモードに引きこもって地上コンボ、空中コンボに壁絡みのコンボを考え、練習し、上達するストイックな楽しさ。
ゲームルールの関係上、実力差がまずAPゲージを溜める効率に表れ、次にスーパーアタックを当てる腕前に表れ、それが積み重なって最終的に順位に反映されるしくみになっているので、良くも悪くも実力差にゆらぎがほとんど起こらない。たとえば同じキャラ、同じプレイヤーで10戦やったとすると、まず10戦とも実力通りの順位になるだろうと思う。
一度溜めたAPゲージを「減らさせる」手段がほとんどないというのもこの傾向に拍車をかけている。このゲームはゲージの抱え死にという概念が無く、APゲージを溜めて死んだら溜まったまま戻ってくる。相手のゲージを無理やり減らす手段は基本的に投げるしか無く、それにしたって減少量は微々たる量の一言だ。


お祭りゲームとしてでなく、あくまで対戦ツールとして、しかもかなりストイックな方向にやりがいのあるように作られているゲーム、それがこのPSBRというゲームだ。


■お祭りに非ず
一方でお祭りゲームとしての出来はどうかというと、少なくともステージ演出に関しては素晴らしいと断言できる。
例えばパラッパラッパーのステージでは、最初は初代パラッパラッパーをほうふつとさせるタマネギ道場内からスタートし、時間経過で初代のCOOL判定演出のように壁を破壊して巨大化、その後背景でメタルギアと何故かバトルしている……などと
異なる2タイトルのエッセンスを一つのステージに盛り込むという事を基本にしているようで、他にも「ゴッド・オブ・ウォー」のステージは背景を破壊してパタポンたちが乱入してくるし、左上にはきちんとFEVER表示が出たりする。
本家スマブラは「各タイトルの世界観を切りだして忠実にステージ化」という路線であるので、こう言ったところでも明確に差別化できていると感じる。


ただし、お祭りゲームとして評価できるのは正直そこくらいのようにも感じる。
各キャラに用意されたストーリーモードはOP、中間デモ1回、ED程度しかストーリーが語られる事はなく、内容も支離滅裂気味。しかも字幕が出ないので、英語で喋るキャラのデモについては内容の理解が難しい面がある*1
いかんせん絵的にも内容的にもお祭りゲームとは言えないくらいストイックな作りで、スマブラのような吹っ飛んでドーンとか「あのモーション」でハンマー振るとかいう、観て楽しい爽快感とか盛り上がりに乏しいのは確か。


対戦ツールとしても、実力差が如実に表れる内容にプラスして、キャラクターの性能差が非常に激しい。個性ではなく性能の部分。
とくにクレイトス・雷電あたりは非常にわかりやすい形で強く、次いでネイト、ナリコ、スライあたりが続く感じか。オンライン対戦に行くとだいたいクレイトス>クレイトス>ダンテ>雷電くらいの頻度でマッチングされると思う。あとはレアキャラ。
逆にトロなどは目に見えて弱い。というか強みを活かしづらい。□ボタン連打のコンボが無く、トロ固有の変身キャンセルというテクニックを使って単発技をコンボに仕立てていく、指先勝負の大変テクニカルなキャラで、オンラインで遭遇した事は今のところない。


あと、対戦前の読み込みが非常に長いのは大幅な減点対象としたい。本当に長い。30秒近く読み込む。


■結論
くどいようだが、スマブラとは似て非なる「プレイステーション オールスター・バトルロイヤル」というタイトルである。
調整やキャラ差の是非はともかく、ゲーム内容に手抜きはないし、率先してきちんとスマブラとの差別化を図ろうとしており、その試みは大部分成功しているように思う。ここまで別物に出来るなら、逆に何故似せたのかと責めたくなるくらい。
お祭りゲームとしては中途半端で、とにかく華とか爽快感にあたる部分の少ない内容なので、好ききらいがわかれるとすればその部分。


スマブラとは別物だと割り切ったうえで、格闘ゲーム的なストイックさを求める人は、まず手にとって損はしないタイトルだと思う。スマブラで「終点・タイマン・アイテムなし」というような遊び方が好きな人も是非。
逆に本当に「ソニーのスマブラ」を遊びたい人は、このゲームには手を出さない方が良いだろう。このゲームの間口はそこまで広くない。対戦で楽しみたい人が楽しめるまで練習する。これはそういうゲームなのだ。

*1:コメント欄にてオプションに字幕設定がある旨をご指摘頂きました