ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

闘劇終了に思うこと

「闘劇」閉幕。10年間の歴史に幕。


一昨年の大会あたりから急激に露呈した当日運営の杜撰さや、昨年末に闘劇の総合プロデュースを行っていた人物がエンターブレインを退社していたこともあり、こうなる事を予想していた人物は少なくないだろう。


この件と昨今の格闘ゲームの斜陽産業ぶりとを結びつけて閉幕の理由付けするのは簡単だけど、ウチはその辺はあまり関係が無くて、闘劇そのものが抱える問題を最後まで克服できなかった結果だと思っている。闘劇は甲子園になれなかった。竜王戦にもなれなかった。甲子園のような全国規模のお祭りにも、竜王戦のような猛者中の猛者を集めて最強を決める舞台にも、どちらにもなりきることが出来なかった。


その最大の原因は地方予選の取り扱いだと思う。闘劇はステージが地方予選と決勝大会にわかれており、いくつかにエリア分けされた単位で行われる地方予選を制したプレイヤーが地方代表として決勝大会に出場する方式を採用していた。ここだけ切り取ると甲子園になる。
……が、この方式はかなり早い段階で「その地方の代表プレイヤーを決勝に送り込む」という役割は果たさなくなっていた。いわゆる「遠征」を禁止するようなことをしなかったからだ。表立って推奨することこそしなかったが、同時に何の対策も取らなかった。地方大会が有力プレイヤーの「滑り止め」になるのは避けられなかったと言える。結果、トッププレイヤーが出場権を得るまで地方予選行脚するという構図が生まれ、出場プレイヤーの地方性の大半は失われた。
そのため、建前は「地域ごとのそのゲームのトッププレイヤーの決戦」でありながら、実態は「そのゲームのトッププレイヤー上位順+一部の有力地方勢で行う格付け戦」であるという矛盾を抱えこんだ。


この矛盾をはじめとした運営の在り方やルールの見直しと言うものは、ついに行われることはなかった。会場の変遷や東京ゲームショーとの併催など、興行として・ビジネスとしてのあり方の模索は随時続けられていたが、それより一歩手前にあるはずの「対戦ゲームのイベントとしてのあり方」は最後まで顧みられないままだった。それどころか2011年大会の海外勢0回戦事件*1、2012年大会の開催形態そのものと、ゲームもプレイヤーも軽視した運営姿勢が年々酷くなっていた背景もあり、今回の闘劇終了宣言に驚く人と言うのはそれほどいないのではないだろうか。


闘劇が無くなっても、格闘ゲームの大会が絶滅するわけではない。アークシステムワークスは定期的に公式大会を開催しているし、鉄拳にはマスターカップが出来た。スパ2XにはX-MANIAがある。ユーザー主体の大会で言うと大規模大会はGODSGARDENが出来たし、個別タイトルで言ってもクーペレーションカップのような例もある。


格闘ゲームはまだ終わらない。闘劇がなくなったからと言って終わるようなものではない。
いま格闘ゲームにしがみついている人間が、ウチも含めて全員やめていなくなるまで、少なくともその瞬間までは、格闘ゲームは終わらない。

*1:運営ミスで大会枠32組に対して33組の出場権を発行してしまい、大会当日に海外予選突破組2組のうち片方の出場権を取り消すことで対処したことを、取り消しを喰らった選手に暴露され袋叩きにあった事件