ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

アスラズラース体験版 はLDゲームなのか?


まずこの体験版をLDゲームに例えたことのある人は
ちょっとそこに座りなさい。

それはさておきサイバーコネクトツー渾身の作品「アスラズラース」の体験版が
XBOXマーケットプレースおよびPSNで配信されております。
内容は製品版の5章、11章にあたる部分がプレイできるようになっているのですが……


このゲームをひと通りプレイして思ったこと。
「主人公を左スティック使って操作してる時間より
 QTE込みでデモシーン見てる時間のほうが長かった」
これに尽きます。これが体験版から受けるこのゲームの印象の全てを表しています。


この体験版の何がいけないかって
ゲームではなく映像デモソフトに終始してしまっているところではないかとウチは思います。
明らかにゲーム部分が取ってつけたような内容で、
QTE中の演出を見せるためだけにしぶしぶゲームの体裁をとって、めんどくさそうに作ってる感じ。
そうでなければ「シューティングシーンで近距離の敵が見切れて見づらくて殴られる」なんて作りをするはずがない。
デモシーンはドラゴンボール系の演出をこれでもかと繰り出して、確かに見応えあるシーンはあるんですが
それをデモシーンで語っちゃうのはゲームとしてどうなの?


こういうデモシーンとQTEを中心としたゲーム内容を「LDゲーム」と称する人がいるけど
それはLDゲームに失礼だよねというのがこのエントリの趣旨。
だってこのゲームはLDゲームですらやろうとしてた「操作と画面の一体感の維持」すらできていないのだから。


この体験版のQTEは、画面見てても次に何が起こるのか、どんな操作がくるのかわかりづらいんです。
相手の攻撃を止めるためにXボタン連打とかはまだマシなほうで、
シーンによってジャンプさせる操作が左スティック上入力だったりジャンプボタンだったり
左右の足に力をこめるためにスティックを下に倒すとか、どうにも直感的ではないんです。
入力と画面の中のアクションが連動しているように感じないんですね。


LDゲームの代表作だと
タイムギャル(タイトー)」
「サンダーストーム(データイースト)」
「ロードブラスター(データイースト)」
「ドラゴンズレア(シネマトロニクス)」
あたりがパッと出てくる方だと思いますが、これらのゲーム内容を見ていくと

  • タイムギャル
    • 画面内で光った方向にレバーを倒すとその場所にレイカが移動。レイカが銃に手をかけたらボタン押すと銃を撃つ。たまに出てくる3択の選択肢は死に覚え。
  • ドラゴンズレア
    • 光った方向にレバーを倒してダーク(主人公)移動。ダークが剣に手をかけたらボタンを押すと剣を振る。
  • サンダーストーム
    • 敵機はバルカン、地上物はミサイルでカーソル合わせて発射して撃破。方向指示が出たら操縦桿をその方向に倒して障害物回避
  • ロードブラスター
    • アクセル・ブレーキ指示でそれぞれのペダルを踏み込むとアニメ中でもそういうアクションになる。ハンドル操作の左右指示も同様。


と、「画面に合わせて操作する」ではなく、「操作に合わせて画面が動く」と思わせるための
操作系と画面演出にしていることがなんとなく読み取れると思います。実際にはどうしても指示待ちになるわけですが。
例外らしい例外は、もともと原作となる映像が先にあって、
あとからLDゲームという体裁を整えて発売した
幻魔大戦(データイースト)」「クリフハンガー*1(スターンエレクトロニクス)」くらいではないでしょうか。


この操作感の薄さはLDゲームに負けているわけです。
このゲームのQTEはもはや操作ですら無い。次のデモシーンを見るための、次の次のデモシーンを見るための
「ページをめくる作業」でしか無い。インタラクションが無いわけですから。
崖から落ちそうな映像に合わせて必死でハンドルを切るような、地面とキスしそうになって必死で操縦桿を引くような
LDゲームですら持ち合わせていた一体感がこの体験版にはない。
残ったのはただただ付き合わされるだけのQTEと三流のアクションゲーム部分、そして開発陣渾身のデモシーンだけ。


この体験版を遊ぶ限り、「アクションゲーム」としての価値はこのゲームにはありません。
ただ、豪勢なデモシーンに稀有な魅力を感じる人や、
このQTEについて回るであろう売り文句「簡単操作」で自分を納得させることが出来る人は
製品版を購入してみる価値があるかも知れません。
申し訳ないんですが、ウチが遊びたいのは「アクションゲーム」であって
インタラクティブデモムービーとかではないので、今回は遠慮させて頂きます。

*1:ルパン三世 カリオストロの城」の映像を流用したLDゲーム