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ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

勇現会社ブレイブカンパニー 感想

クリア後の要素まで大体クリア。


良かったところ:全部
悪かったところ:全部!


あと少しで良作と呼べた純然たるバーボンゲーム。




 まずこのゲームの最大の欠点を挙げておきますが、それは「一番最初が一番面白くないこと」です。


 ゲームを始めると、ボイスパターンの少ない秘書キャラクターに名刺を作らされ、その後チュートリアルと呼べるかどうか疑わしいチュートリアルを経て早速ゲーム内時間が動き出すわけですが、このゲームは説明書もゲーム内チュートリアルもとにかく肝心なところの説明がなく、「とにかく繰り返してゲームを学べ」というスパルタンな姿勢が貫かれております。


 とりあえず言われるがままにデフォルト社員を適当に派遣して依頼失敗、瞬く間に資金が底をついて詰み というのが最初の数回であり、この時点でクソだと断じて放置されてもおかしくないくらい序盤の作りは悪いです。
 このゲームで最もとっつきが悪く、そして難易度が高いのはゲーム開始直後だとウチは思います。


 ここをもうちょっと我慢して、
「依頼の成否に派遣人数は関係ない」
「依頼の成否は派遣した社員のスキルによって大部分が左右される」
 という、本来チュートリアルで触れるべきところを自分で開眼できれば、このゲームの楽しさがようやく見えてきます。


 このゲームの楽しさとは「解析する楽しさ」です。
 各地域の依頼は、戦闘系の依頼を除くと、いったん社員を派遣してみるまで依頼内容がわからないため、派遣量の安い捨て社員で偵察に行くか、幅広いスキルを持たせたパーティを組んで、どれか一人が当たりスキルにヒットするように派遣するかして、
「どの地域の依頼はどういう内容なのか」
「ある依頼に対する正解スキルはどれなのか」
「どのくらい社員を酷使すると疲労度オーバーで退職されてしまうのか」
 というデータを、プレイヤー自身がトライアンドエラーで積み重ねていく必要があります。そうやって効率の良い派遣スケジュールやパーティ編成をひねり出し、会社の経営を軌道にのせていくのがこのゲームの一番面白い部分だとウチは思います。


 なので、どんなに苦しくてもこのゲームの攻略情報を参照したりするのはウチはおすすめしません。各依頼に対する正解を見つけ出し、最適解を編み出すまでが楽しいゲームなので、ここの答え合わせを事前にしてしまうとこのゲームはただの作業になってしまいます。


 逆にこういう地道な内容にいまいちそそられるものがない人は手を出さないほうが懸命です。
 どこまでいっても地味〜な内容には間違いなく、無責任に人におすすめするには不出来な点があまりに多すぎます。
 UIも基本的に行き届いた内容になっておらず、妙に階層が深かったり、各ボタンの機能がわかりにくかったり、ステータス詳細でLRボタンでキャラの切り替えが出来なかったりと、操作関連はもう二回りくらい作り込んで欲しかったところ。こことゲーム序盤の導線の悪さでこのゲームは評価を大きく落としていると思います。


 こういう些細なようで些細でないところも含めてできの悪いところは目を瞑って楽しむことが出来れば、メモ片手にデータを蓄積していくような、大変に古臭くスパルタンな経営SLGが楽しめるでしょう。
 良いところも悪い所もあまりに多すぎて、おまけにゲームの楽しみ方というのも大変にひねくれていて、まずスタートラインに立つのが大変なゲームであり、とてもとても万人向けとは言い難い内容ですが、今時珍しいくらいスパルタンな方向に一本芯が通った稀有なゲームであることも確かです。
 強制オートセーブで基本的にやり直し不可という男らしい仕様にもその思想が現れていると思います。


 このゲームはバーボンです。
 もうちょっと序盤の導線がしっかりしていれば、もうちょっとチュートリアルがちゃんと解説していれば、もうちょっとキャラクターの顔グラフィックにバリエーションがあれば、異色作として日の目をみる機会も多かったはずなのに、端々の作りの悪さが全部裏目に出て、とても人に薦められるゲームではなくなってしまいました。
 あまりのとっつきの悪さに早々に投げてしまう人のほうが多いと思います。そして、そのとっつきの悪さを乗り越えた先にあるのは、これまた不親切で爽快感などとは縁遠い、地味で古臭い解析の楽しみ。


 ですが、その地味で古臭いところこそ、ウチが心惹かれたポイントであるというのもまた事実です。だからこそ、もうちょっとだけ操作性やUIがしっかり作れていればと惜しむ心もまた尽きず。
 ステータス確認するのも面倒さが先に来るUIなのはこういうゲームとしてどうなの。


 このゲームは、いつ焼いたかも分からない、かたくなったスルメのようなゲームです。口に入れてもひたすらにかたい上に不味く、下手すると歯まで折られます。しかし、必死で口の中で舐っているうちに、このスルメでしか味わえない年季と埃の香り入り混じる奇妙な味わいが出てきます。
 とっくにふやけきっていて、顎も疲れている気がするのに、その味わいがなんとなく惜しくて、気がついたらまだ口を動かしているような、そんな魔性のゲームです。


 その魔性を見出し、なおかつ愛せる人はなかなか居ないと思いますが、そのあたりをある程度覚悟した上でこのゲームを手にとって見ると、ウチの感じた砂を噛む様な楽しさを分かち合えるかもしれません。