読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

グランナイツヒストリー 感想

ユニオンシナリオ終了まで。
いつものヴァニラウェアのゲーム。極めて悪い意味で。


以下、久々の大長文。


まずもうUIとテンポが悪すぎる。
ゲームシステムがどうとかバランスがどうとか話す以前の問題。


ゲーム開始数分間でまず
・メッセージの一括表示をデフォルトにできない
・メッセージ高速スキップとかも無い
・イベント絵が出たり消えたりする演出(長い)が飛ばせない
・キャラクターメイキングでデフォルトパラメータが出るときのグラフが
 見栄えでも重視したのか斜めになってて始点座標が一致しておらず、
 グラフの意味が無い
・戦闘突入前に魔物っぽいものが画面を跳ね回る演出が飛ばせない
・戦闘アニメのスキップ設定が保存されないので毎回戦闘開始後にXボタンを押さないといけない
 しかも入力猶予がシビアで初回行動はどうやっても見ることになる
・熟練度表示がうざい
・レベルアップした時、ステータス変化を通知してくれない

と、これだけモリモリ不満が出てくるRPGって
ウチのRPGプレイ経験だとDSの「ヘラクレスの栄光」くらいまでさかのぼらないと記憶に無い。
最後の約束の物語」も戦闘中のテンポは良くなかったけどUIはそうでもなかったからな。


とにかく「飛ばせないといけない演出」がことごとく飛ばせない。
読み込んでるわけじゃあるまいし少なくとも会話シーンの
「しゃべるキャラが徐々に書きこまれていく演出」とかは飛ばせないといけなかった。
イベント自体にさしたる面白味も無いので、一括表示設定できないメッセージスピードも相まって
引き伸ばされてる感がどうにも拭えない。


そのくせ、敵味方のHPを数値で確認できる機会がターンの合間にしか無い、
敵味方の行動順の確認もできない、
レベルアップごとのステータスの伸びはレベルアップ前後の値を覚えて自分で引き算しないといけない、
ないないづくしでモダンなRPGとして手が届いて欲しいところの全てに手が届いてない印象。


とくに、このゲームはやれ育成だ装備変更だと数値とにらめっこしながら進めていくようなゲームなので
UIやテンポの良さという部分にかかってくる責任は、アクション主体だった前作「朧村正」や
その前の「オーディンスフィア」とは比べものにならないくらい大きいところなんですが
残念ながら見栄えを最優先した結果か「快適さ」とは縁遠いUIになってしまっています。


という点を踏まえて、まずはオフラインモードである訓練モードの話から。


ウチがこのゲームを遊んでいて最も疑問に思ったのが、
「このゲーム内容でどうやって育成キャラに個性を出せるんだ?」
というところ。


訓練モードは、4人1組のパーティを、ストーリーに沿ったクエストをこなしながら育成し、
ある程度育ったらオンラインの戦争モードに向かわせるために「叙任」を行い、
叙任したパーティは訓練モードでは使用出来なくなるので新たにレベル1から育成を開始する……
というようなことを繰り返すモードです。


クエストは、すごろくのマス目のように区分けされたマップを
行ったりきたりしながら進行するという、一風変わった移動システムを採用しており、
多少の例外はありますが、概ね100歩前後の移動でクエストを完遂しないと失敗扱いになります。
この移動中にはクエストイベントの他、多少のランダムイベントと、
多めのランダムエンカウント戦闘で成り立っています。


パーティ育成はクエストの他に「訓練」という行事でも実行可能です。
この場合、レベルや経験値は上がらないものの、訓練内容に応じたパラメータが
ある程度上昇する仕組みになっております。
訓練を行うには、クエスト達成で手に入る「訓練許可書」というアイテムが必要になり、
このアイテムの入手がクエストの目的の非常に大きな部分を占めます。


クエストにしろ訓練にしろ、実行するたびにゲーム内時間が経過するようになっており、
ゲーム内で60日が経過すると前述の「叙任」が可能になり、
代わりに訓練が受けられなくなります(クエスト進行は可能)


さして特記すべきところのないシステムに思えますが、ここに
「訓練モードで出現する敵パーティは、
 雑魚・ボス問わずプレイヤーのレベルに応じた補正がかかる」
という仕様が加わることで一気にきな臭くなってきます。


このゲームは敵のレベル補正が非常に激しく、
一つのパーティを大切に使おうとしても
途中で必ず詰まるバランスになっています。
こちらのレベル上昇に伴うパラメータ上昇より
、敵のレベル補正に伴うインフレのほうが激しいため、
最終的には雑魚狩りでのレベル上げにも一苦労する様になってしまいます。


これは、ゲーム開始時に作成するパーティはシナリオやシステム開放具合の都合上
訓練をほぼ行うことができないため、ベースパラメータが貧弱である事に対し、
敵のレベル補正は「訓練済みのプレイヤーパーティの成長を前提」として設定されていると見え、
一つのパーティを大切に使って育てていくという運用は事実上できないようになってるようです。


そして先述の通り、このレベル補正はボスにも有効です。
場合によってはスキルを使用してこなくなるケースもあり、
詰まったらとりあえず叙任して新米パーティを作り、
ボスに挑むようにすればまず間違いはありません。
このとき、敵の補正はプレイヤーパーティのレベルの値以外は考慮されないため、
訓練でベースパラメータを上昇させてから挑むとモアベターです。


つまりこのゲームの、少なくともオフラインモードのスムーズな進行方法とは
「ひたすら訓練漬けにした低Lvパーティを」
「できるだけLvが上がらないように使い倒す」
ことになります。
Lvが上がると敵がさらに強くなるという仕様上、レベルを育てるメリットがあまりないからです。
訓練で上乗せされたパラメータはLvでの上昇分には一切影響を与えないため、
未訓練のキャラが訓練付のキャラにパラメータ的に追いつくことは絶対にありません。
そして訓練許可書は基本的に1クエスト1枚の入手効率になっています。


つまりこのゲームでほんとうに強いパーティを作成するためには
大量の捨てキャラでひたすらクエストを回し、
キャラ4人を訓練漬けに出来るだけの訓練許可書をかき集めるところがスタートラインとなるわけです。


ここでようやく冒頭に呟いた「個性」の話が出てくるわけですが、
このゲームにおけるキャラクター個性の9割9分は数値です。
というのは、このゲームは各種特殊能力やスキルといったものは
ショップでお金を支払って購入するか、
クエスト中にアイテムとして入手する仕組みになっており
スキルポイントやスキルツリーといった、
「特技を取捨選択する仕組み」は搭載しておりません。
スキル自身にも、レベル制限程度の割とゆるい装備制限しかなく、
お金と根気さえあれば上級スキルでガチムチに固めることも可能です。


この結果何が起こるかというと、キャラの育成方針に変化がなくなります。
「前提スキル」など、スキルのバランスをコントロールする仕組みがとくにないので
「その時々で最も効果の強いスキルをもたせる」のが常に正解の選択肢になるからです。
スキルの中にも、産廃レベルのスキルから鉄板スキルまで有用性の幅が非常に広く、
あえて傾いたスキル構成でもって戦場でトリックスターぶりを発揮するというような
尖ったスキル構成のキャラにはまず人権が認められません。


スキルが似通った構成になる以上、個性を見出すには数値に頼るしかありません。
実際スタッフ側にもそういう意図があったのか、キャラごとに能力地の成長曲線や成長率に
差を持たせるようにしているようです(マニュアルにそれを示唆する記述がある)。
もちろん成長曲線といったパラメータが目に見えようはずも無く、
戦闘中の行動や成長補正アイテムなどという要素も無く、
結局のところこのゲームの育成とは最終的には運ゲーです。
内部設定された成長曲線と、訓練で伸ばした能力値がうまく噛み合うことを祈りながら
しぶしぶレベルを上げて数値の伸びとにらめっこするのが
キャラ育成に本腰を入れた時のこのゲームの姿です。


ウチ個人としては、大切に長く育てたキャラクターを戦争で活躍させるゲームだと思ったので
この時点でちょっとこのゲームシステムは水が合わないなと思ってしまいました。


ストーリー的にもなかなか盛り上がる所がなく、
本当に最終盤まで盛り上がらないのでどうしても遊んでて眠くなる。
このゲームの残念なところにオフラインモードのキャラクターが非常に少ないことが挙げられ、
マップ上の地域がかわろうがゲーム内の季節が遷移しようが、
出てくる敵キャラの色は変わっても種類がほとんど変化しません。
サブキャラも「またお前か」と思ってしまう程度にクエスト間で登場人物のバリエーションが少なく、
内容的にももうお供の女の子だけいればよかったんじゃね? 程度のお話。


ボスキャラ以外は敵キャラクターの種類も非常に少なく、
カラーバリエーションの違いで最大限水増しをはかっている印象が先に来てしまいました。
キャラクターのデザイン自体には手抜きもなく、
いつものヴァニラウェアクオリティで安心の仕上がりなんですが
ボス以外はほとんど敵キャラの種類に変化が起こらないしボス戦の谷間のクエストも多め、
このゲームを覆い尽くすテンポの悪さも足を引っ張ってなかなか先にすすめる気が起こらない。


前作「朧村正」も、道中はグッダグダだったものの、節目節目で魅せてくれるボスが出てくるところ、
今の目で見ても他のタイトルを5打差引き離してぶっちぎっている背景美術、
徹底的にリズムに拘った台詞の数々と声優陣の熱演といった
演出の数々が「こういうのが見たいから先にすすめる」という動機づけになり、
アクションゲームとしてちょっと手の届いていない部分を埋め合わせるパワーがあった。
翻ってこのゲームは「代わり映えしない」を通り越して
もはや「単調」の域にまで達してしまっている。


単調といえば戦闘もそうで、
敵の種類が少ないせいでこちらもスキル構成や行動に変化を付ける理由に乏しく、
ただひたすらに単調と言わざるを得ない。
単調なだけならともかくテンポも悪く、
ストーリー展開も遅いので遊んでるうちに退屈で眠くなってしまう。


さて、そんなオフラインモードを乗り越え、手塩にかけて育てた騎士の晴れ舞台。
それがオンラインモードであり、このゲームのメインモードである「戦争モード」です。
どのくらいメインかというと、メニューの項目名が訓練モードよりでかいくらいメイン。


このモードがどのような内容かというと、
「領土という形をしたレアアイテム販売抽選券を
 戦闘で奪い合うモード」です。


戦争モードは、いくつかの地域ごとに分割された各国の領土を
一定時間の区切りで、戦闘という形で侵攻、あるいは防衛を行います。
それぞれの陣営の貢献度や戦闘勝利数を総合的に加味したポイントの多寡でもって
侵攻作戦の成否が判断される仕組みとなっております。、
自分で戦闘操作を行う手動進軍のほかに
戦闘方針の策定後はオートで作戦を遂行する自動進軍というシステムがあり、
これは約1時間ごとにネット接続して結果を確認しておけば十分な戦果を得られるため
空き時間にチマチマと結果だけ確認する的な遊びも可能です。むしろ多分こっちの遊び方がメイン。


で、まず戦争モード全般を取り巻く問題として、
「戦争に勝利する意味が薄い」ことが挙げられます。
この戦争モードなんですが、自動進軍にしろ手動戦争にしろ
やることはただひたすら戦闘をするだけです。


なにぶん領土戦争ということで、お互いの所有する領土の切った張ったはあるにせよ
一方で首都には進行できないシステムになっている(進軍先投票の対象にならない)のがきつい。
デモや取説で「大陸統一を目指す」っつってんのに
システム側で大陸統一できないようになっているという理不尽。


極端な話、戦争の勝ち負けが及ぼす影響とはオンライン道具屋(戦場行商人)の品揃えだけです。
敗戦国や貢献度の低いプレイヤーの戦場行商人の品揃えはしょぼくなり、
戦勝国や貢献度の高いプレイヤーの戦場行商人の品揃えは豪華になります。


このゲームのオンライン要素はそれだけです。
装備品のために戦闘を繰り返し、戦闘のために装備品を買い揃える。
領土の多寡が戦場行商人の品揃えにしか影響しないので、
装備が欲しいという意欲でモチベーションを保てるかどうかがこのゲームを続ける重要な適性になります。


オンライン戦闘も、このゲームはPvPという要素は搭載しておらず、
見知らぬ誰かが登録した「かもしれない」AI敵パーティを相手に
オフラインと同じルールでの戦闘をただひたすら繰り返すだけ。
オフラインモードの項で述べましたとおり、このゲームは割と所属国ごとの
最適解のようなものが決まっているため
自然とオンラインで出会う敵パーティの構成も偏ることになります。
装備もスキル構成もクラス構成も金太郎飴のごとく同じ構成の連中を
こっちも毎回毎回同じスキル選択で機械的にもぐら叩きをするだけ。


その他のオンライン要素といえば、フレンド登録した騎士団の成績を
効率よくストーキングできるようになることくらい。
フレンド登録したからとPvPができるようになったり、
共闘ボーナスみたいなものが入るわけでもない。


申し訳ないがウチはこのモードのどこにモチベーションを見出せばいいのかわからない。
ホントに戦闘以外に何かイベントがあるとかいうわけでもない。
本陣陥落による敗北や大陸統一による勝利といったわかりやすいカタルシスもない。
戦争のシステムが、戦闘のシステムが、何もかもが単調すぎる。


結論


お金を払ってこのゲームを遊ぶ価値をウチは最後まで見出すことは出来なかった。
手放しでほめられる点はグラフィックの書き込みと
ベイシスケイプの手がける音楽のみ。
あとに残るのは「頑張れば面白くなるかもしれなかった要素」の残りかす。
さらに今回はグラフィック的なボリュームには乏しく、
縋るべき「良きヴァニラウェアらしさ」すら薄れかけている始末。
もし続編があるのなら、グラフィックよりも何よりも、
まず「育成RPGとしてのルール」をしっかり作り上げてから発売してくださいね。