ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

戦国無双 クロニクル

本体値下げ前なのでちょっと旬を外し気味のこのゲームのレビュー。


発売前、ウチはこのゲームを完全にナメてかかってました。
体験会でプレイした時もマイナス印象は変わりませんでした。
Twitterでもなにかにつけ「三国4ベタ移植でいいだろksg」
などという発言を繰り返しておりました。


す い ま せ ん で し た


最近の無双に飽いた人にこそプレーしてほしい戦国無双シリーズ渾身の1作。
戦国シリーズが一貫して育ててきたミッション重視のゲーム性の
ひとつの完成を見たと言ってもいい出来に仕上がっております。


クロニクルの肝となるシステムが「プレイヤーキャラを4人まで同時出撃できる」というシステムで、
過去にOROCHIシリーズにあったタッグ制とはちがい、単純にキャラ抗体ができるシステムとは少々趣が異なり
ステージ中の違う場所に4人配置しておき、いつでも操作を切り替えることができるというシステムになっております。
また、自分が操作していない3人の武将には簡単な移動指示を出しておくことが出来、
移動先を敵武将にすることで戦闘をさせておくことも出来ます。


従来の無双と違う点はほぼこの一点に尽きるのですが、このシステムのおかげで
戦闘のテンポの悪さが大幅に改善しているのが見逃せないところ。
戦国に限らず、これまでの無双シリーズは「移動→戦闘→移動→戦闘」
という流れを繰り返す内容となっており、この「移動」の部分がなかなか退屈で
無双シリーズを新規で始めるときはまず速い馬の入手条件を調べるところからはじまっていたのですが
クロニクルでは他のプレイヤー武将に能動的に移動指示を出しておけるので
自分がミッションAを遂行している間、別の武将をミッションBに向かわせておき
ミッションAが終わる頃にはミッションBの場所に武将が到着しているのでミッションB遂行、
というようにプレイヤーが常においしいところをプレイできるように、テンポが大幅に改善しています。


ミッションも従来作以上に同時多発的に発生するようになっており、
細かく武将に指示を出しておくという行為が重要になるように配慮されています。


また、各武将にはそれぞれ「戦技」という
戦闘中いつでも発動できる特殊能力をみにつけており、
攻撃力UPや敵の能力ダウンといったオーソドックスなものから
「ミッションの時間制限を延長」「コンボのヒット数にボーナス」「敵武将の移動速度の低下」
というユニークなものまでひと通り揃っており、
これが武将の使い分けに一役買っています。
基本的に後半ステージのコンボ系ミッション、○○人撃破系ミッションは
あまり多い人数を同時表示できないハードの制約上の理由もあって難易度が高めになっていて
これらのミッションの難易度を軽減する武将の投入が半ば必須*1となっています。


戦技自体はいつでも使用できますが、使用するために「練気」を貯めておかねばならず、
練気は自分で操作して敵に攻撃を当てて行かないとなかなか貯まらない仕組みになっているので
「後のミッションに備えてヒマなうちに家康の練気貯めとくか……」
と、ステージ中の時間配分を考えるアクセントになっているとウチは思いました。
そうじゃなかったら家康なんて使わn


従来の無双シリーズ欠点の一つである
「ストーリーが多すぎてヤル気が持たない」という点を
オリジナル主人公を一人用意し、その主人公の視点で戦国時代を一つの大きなストーリーモードにすることで
割と強引ながら解決できてるのも面白い。
本来、ストーリーが多いと何が厳しいかというと
それぞれの主人公武将をイチから鍛え直すのが厳しいというのが大きかったように思っているのですが
クロニクルは河越夜戦大阪夏の陣までの戦国時代をオリジナル主人公が戦い抜くという構成になっており、
主人公自体はメインストーリーであまり主張しない空気的な存在になっている点も含めて
うまいことまとめている印象を受けました。


その分、歴史のIF的な要素は今回極めて控えめで
大阪夏の陣まで含めても、各合戦には基本的に史実通りの結末が待っています。
最終章と外伝を除くとシナリオ固定の関係上、陣営の変更もできないので
ステージのシチュエーション的なボリュームは据え置き版より若干下がっているかもしれません。


もっとも、IFにさかなくて良くなった分が本編に注がれているのか
シナリオと各武将のキャラ立てはかなりうまくいっているのでは無いかと思います。
とくにシナリオは本家3が本気で悲惨な出来栄えだったことを考えると
よくここまで持ち直したと思わざるをえない内容。
戦国時代の合戦史をなぞっていくだけだからかキャラクターも概ね本編中は薄めの味付けになっており
基本的に史実通りの年代に退場するのでボロがあまり出ていないのが良い方向に作用しています。


シナリオで出てこない分のキャラの掘り下げは戦闘後イベントの形で補完しており、
今回は各合戦後に、その時点までで登場した武将と会話イベントを行うことが出来、
合戦の結果や会話での好感度の上下によって、他の合戦でその武将を使用可能になったり
主人公のモーションを好感度最高まで上げたキャラに変えることができるようになります。
イベントは基本的にフルボイスの会話+選択肢で進行し、選択肢によってキャラの好感度が上下しますが
イベントの内容がなかなかどうして、史実や逸話をベースにした物が多く、
くのいちのようなオリジナルキャラでもない限りは逸話の元ネタを知っているとニヤリとできる比率が高めとなっています。


2GBRom使いきりましたと豪語するだけあってボイス量も非常に多く、
前述した各武将ごとのイベントは、登場する全武将に対して10回前後イベントがあり、
選択肢に対する反応も含めて完全フルボイス。
戦闘中の会話も豊富で、今回はプレイヤー武将→モブ武将の会話もそこそこあり、
毛利元就陶晴賢のようなステージ上必然的に出会う組み合わせのほか
森蘭丸森長可のように、わざわざ蘭丸を解禁後にプレイヤー武将として出撃させて初めて聴ける組み合わせもあります。
もちろん阿国さんは全男性キャラに対して特殊会話があるという凝りよう。


以下は気になったところをちょろちょろと。

  • デモ・ムービーが基本的にスキップ不可

スキップ不可なのは初回のみで2回目以降はスタートボタンでスキップできるようにはなりますが
合戦の背景説明デモが早送りも出来ず、そこそこ長いのでちょっとイライラ。

  • 非操作武将が微妙にアホ

自分で操作しない出撃武将には指示を出しておけるのは前述しましたが
これが微妙にアホで、武将との戦闘指示を出しても
なぜか武将をスルーしたり、移動中に雑兵の小競り合いに巻き込まれて立ち止まったりすることがままあります。
特に「○○の味方本陣突入を阻止せよ」系のミッションで、指示のみで味方武将を対象の敵武将にぶつけると
高確率でスルーされるため、ある程度近づいたらプレイヤー操作に切り替えてちょっかいを出しておく必要があります。

  • ややバグ多し

一度クリアした合戦は主人公を出撃メンバーから外してプレイできるようになりますが、
主人公を外すと高確率で味方武将が一人、戦場からいなくなってしまいます。
存在フラグ自体は立っているので情報画面から名前はみえるんですが、
戦場にいないのでそいつ絡みのミッションが達成できなくなります。主人公を外すのはやめましょう。
これ以外にも好感度が限界を超えて下がると、突如表示上だけ好感度が最高評価になったりしますが
内部的にはきっちり最低好感度なのであまり意味がありません。やめましょう。

  • ワラワラ感はそこそこ

先ほど申したとおり、無双タイトルにもかかわらずワラワラ感はもう一歩です。
3DS本体のバージョンアップにより幾分か改善されましたが、それでも据え置き版とは比較するべくもない人数です。
なので爽快感という意味ではやはり物足りないものがあるとは思います。
そうは言っても男主人公の最大チャージとか結構爽快ですが。

  • 無双であること

なんだかんだいってもベースは戦国無双3*2なので
無双シリーズ自体に嫌悪感や抵抗がある人にはおすすめできかねます。


結論


無双シリーズに抵抗がない人、そして据え置き版の近作に落胆した人にこそプレイしてほしいゲーム。
ミッション重視のゲーム性の開花に加え、最近の無双がどこかに忘れてしまった
「歴史ゲーム」としての側面が復活している戦国シリーズ会心の一作だとウチは思います。
幾分か値も下がっていると思われますので、本体値下げと同時に購入してみてはどうでしょうか。

*1:公式で配信している「週刊・戦国通信」でもこの点に言及あり

*2:士気ゲージの復活に伴い、あの悪夢のような味方敗走率は直っている