ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

うしみつモンストルオ

げきむずクリアまで。


リンゼかわいいよ
かわいいよリンゼ


リンゼのキャラクターを目当てに購入するなら大満足じゃないですかね。
ただ、音ゲーとしての出来を期待すると少なからず不満が出ると思います。


キャラクターは非常によくできてて
等身低めで手足の細いモデリングながら
愛らしく良く動きます。
このキャラが二頭身でちまちま踊る姿を見るのはなかなか楽しいです。
リンゼの着せ替え要素や絵本の存在など、「キャラクターを楽しませる要素」
は十二分に整ってて、
キャラクター推しのゲームとして必要なパーツは十分に整っている印象です。


キャラの魅力もあって、デフォルトのアンニュイな表情が愛らしいリンゼ、
気弱な吸血鬼・さびしんぼの狼男といったキャラが表情豊かに織り成す寸劇とダンスで
モトが取れる人は少なくないと思います。


反面、音楽ゲームとしてはよくも悪くも手軽にまとめた印象で、
ウチには最高難易度である「げきむず」でもあまり手応えを感じる内容ではなかったです。
ただ、これは出来が悪いって言いたいわけではなく、
むしろ立体視とタッチ主体の音楽ゲームを両立するために頑張ってシステム考えた結果だとウチは思ってまして、
本来のこのゲームのターゲットであるであろう年齢層を考えるとむしろ良くできたシステムと言えると思います。


このゲームのルールは


①上画面にマーカーが出たら、マーカーをくるっと回る「▽」が12時の方向に来た瞬間を狙って画面をタッチ
②ラインつきのマーカーが出たら、①のあとにラインからドクロマークがはみ出ないようになぞる
③マンドラゴラマーカーが出たら、①のタイミングで画面を上にスライドしてマンドラゴラを抜く


という3つの動作で成り立っております。
ぶっちゃけ「押忍!闘え!応援団!」のアレンジなんですが、
応援団と違ってマーカー自体は上画面、タッチは下画面であれば場所は問わない と
ルールが簡略化されているのがポイント。
観る画面は上画面だけで、視点を下画面に移す必要も特にないのであくまで立体視画面に集中できます。
上画面ではリンゼ達がダンスをしている他、時折挿入されるコウモリの群れがこっちに飛び出してくる演出など
ワンポイントのきいた演出がいい味を出しており、リンゼ達のダンスを見せる、ゲームもさせるという命題を
両方クリアした良いシステムだと思います。


一方キャラクターがダンスで主張するためか、曲そのものは全く主張せず
「ダンスの曲」どころかBGMレベルまで控えめになっているのが気になりました。
一曲も長くて70秒前後と音楽ゲームとしては未曽有の短さで、
実際のステージにはその70秒の間に「スリラータイム」というミニゲームが挟まる仕組みになっているので
実質的に音楽ゲームとして曲を聞いている時間はもっと短くなります。


これがどういうことかというと、このゲームを「音楽ゲーム」としてプレイしている時間は非常に短いということです。
このゲームは「寸劇→ダンス(音ゲー)→寸劇」という流れを1ステージとして物語が進行するようになっていますが
寸劇のスキップ速度が遅めという特徴と組み合わさって、どのステージも基本的にダンスやってる時間より寸劇見てる時間のほうが長いです。
キャラクターのオマケでダンスシーンがついてきてるんじゃないかってくらい。


個人的にはこのゲームは「手軽」に楽しむべきゲームで、恐らく作り手の思惑としてもそうだったのではないかと思ってます。
あくまでゲーム本体は手軽に楽しめるように。その分キャラクターを魅力的に作りこんで、
手軽だからこそちょくちょく遊べるように。だからこそルールを簡略化して、
その代わりゲームを続ける動機として愛らしいキャラクターがいる。


だからこそ「音ゲーとして」何かを期待すると調子を狂わされます。
曲は短いし、難易度は控えめ。曲そのものが主張してくることは殆ど無く、最終面ですらクラシックアレンジ。
でもこのゲームはそれでいいんです。曲が出張るとキャラがぼやけます。このゲームの魅力はキャラクターの魅力であり、
キャラクターを活かすために音ゲーのルールを作っている以上、このゲームに音楽ゲームとしての評価を下すのは
それはそれで野暮な真似にあたるのではないかなとウチは考えるようになりました。
重要なのは曲ではありません。「曲ごとにきちんとダンスが用意されている」というキャラクターの作り込みです。


それだけに「きせかえモードなどのメニューが階層深めで分かりづらい」「漢字にルビがふられていない」
など、細かい配慮不足は気になるところです。
とくにこのゲームの本来のターゲット層(大きなお友達という意味ではなく)を考えると
割と普通に漢字が使用されているだけにルビがふられていないのは残念なところ。


結論


キャラクターを楽しませる仕組みは十二分に用意されています。
ゲームとしての難易度は、少なくともデフォルト難易度では相当低めということを考えると
「リンゼたんをぺろぺろしたいよ〜」という少数の大きなお友達向け……というよりは
純粋に低年齢層におすすめかもしれません。


なので、何度も言っているとおり「音楽ゲーム」としての出来を期待するとフラストレーションが溜まると思います。
このゲームははっきり「そういうゲームじゃない」ので、キャラクターにピンとこない人にはまずおすすめできかねます。
このゲームの魅力の10割はキャラクターで、音ゲーはおまけです。