ゲヱム日々是徒然

No VideoGame. No Life.

Vectrex紀行 ARMOR ATTACK

「おい、ブロビー ブロビーはどこだ」


はい、お嬢様


「またしても間があいたわね?」


申し訳ございません。最近スターk


「聞きあきたわブロビー。で、今日もVectrexよ」


はい、お嬢様。今日の出物はこちらでございます。



アーマー・アタック でございます。
この英語をどう読むかでその人物の廃人度が分かります。


「目に厳しいオーバレイね?」



明るい原色でございますからして。毒々しいと言っても差し支えありません。



ドラム音が小気味よいタイトル画面でございます。


「こういうBEEP音っぽい音に関しては切れ味の良い音が出るわよね」


はい、お嬢様。画面の不気味な動作音も相まって私もいつ壊れるかと思うと。



「じゃあゲームの説明をして頂戴」


はい、お嬢様。お嬢様は画面中央のジープを操って


「ジープ?」



ジープでございます。


「……」


ジープを操って、敵戦車および敵ヘリコプターと



「戦車?」


戦車でございます。


「……」

敵戦車及び敵ヘリコプターと果て無き死闘を繰り広げるのが
このゲームにおけるお嬢様の役割でございます。
キーアサインはレバー左右で旋回、1ボタン2ボタンで旋回角度の微調整、3ボタンで前進、4ボタンでミサイル発射となっております。


「レバーの旋回とボタンの旋回でなにか違うのかしら?」


レバーでの旋回は倒しただけくるくる回り続けますが、ボタンの場合は押しっぱなしにしてもその方向にちょっとだけ角度を変えるにとどめます。
申し上げましたとおり、微調整用ですね。


また、お嬢様はジープなので向いてる方向にしか攻撃できませんが、敵戦車やヘリはその性質上
進行方向とは別に砲塔を向けてこちらを攻撃してきます。ご注意を。


「戦車に攻撃を当てたはずなのに撃ってきたのだけれど」


戦車は基本的に攻撃を1発当てただけではキャタピラがお釈迦になるのみで
砲塔は生きております。
可及的速やかにに2発のミサイルをきゃつに回中し、敵を撃滅せしめてください。執念です。


「執念は大事よね」


ちなみにこのゲームですが、こういうモードもあります。



「壁がなくなったわ」


本当に無くなったわけではなく、見えないだけです。
先程御覧頂いたオーバレイに茂みや建物が描かれていたのがおわかりになるかと思いますが、
本来あれが壁の表現であり、ベクターで壁が可視化されていたわけではないのですよ。
いわゆるアーケード再現モードですね。


「再現?」


はい。実はこちらもアーケードゲームの同名作品の異色作となります。
もともと米国Cinematronics社のアーケードゲームだったところを、
Vectrexの開発元であるGCE社が移植したようですね。
アーケード版に関しては日本でも
当時SEGAが少数輸入したものが出回っていたようです。


「あなたはプレイしたことはないの?」


なにぶん出回りが悪かったらしいもので、私もさすがに実機を見たことはございません。
Webから再現映像を入手してまいりましたのでこれでお許しを。



ジープはともかく、戦車に関してはVectrex版よりかなりディテールが細かいのがおわかりいただけると思います。
舞台も密林の集落といった風情のVectrex版と違い都市っぽさが残るオーバレイになっていますね。


「内容的には一緒だったのかしら?」


戦車がこのとおりのディテールですのでこのキャタピラのリアルな表現と
Vectrex版と違って敵が若干賢かったところが売りのようですね。
そもそものゲーム内容的にはそれほど差はなかったと思われます。



如何ですかお嬢様。


「うーん……単調ね。ちょっと慣れるとゲームが終わらないわ。戦車も最大で2体しか出ないし弾も等間隔でしか撃ってこないし、
 ちょっとヘリに気をつければずーっとプレイしていられると思うの。実際眠くなってきたわ」


この時代の、ましてアーケードゲームの移植作ですから。原作自体も奥深さとかそういう要素はいまいちだったようですし、
お嬢様の抱かれた感想もむべなるかなと。


「ところでブロビー。あなたさっき廃人度がどうとか言ってなかったかしら」


はい、お嬢様。先程このゲームのアーケード版をSEGAが輸入していたと申し上げましたね。


「そうね。今は資料に残っているだけなのだけれど」


はい。実はこのゲーム、SEGA流通時代は「アーモア・アタック」とカナが振られていたのですよ。
Vectrex版が国内発売された際にバンダイによって「アーマー・アタック」とカナが振り直されたのです。
つまりこの「アーモア・アタック」という読みを知っている人間は、もうそれだけで
かなりのSEGA人にして手遅れであるということが読み取れるということですよお嬢様。


「……この英語から"アーモア"と読むかしら?」


ネイティブな発音とも若干異なるように思います。
まあ、SEGAですから。


SEGAなら仕方ないわよね」


そのとおりでございます、お嬢様。
もっともブローシャーを含めた資料が殆ど残されていないので
実は違った可能性もあるにはあるのですが、
手元にある「セガ・アーケードヒストリー」にはそう書いてあります。
今手元にないのですが「アーケード・TVゲームリスト」でも同様の表記だったと記憶しております。
今度調べておきましょう。ええと……どの段ボールにしまったんでしたっけ。


「……知らないわ」